過去ログ - 【咲】ハギヨシ「有給休暇……でございますか」菫「2日目だ」【安価スレ】
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294:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/09/08(土) 16:55:17.82 ID:22xt6mj+0

【11/9 (金) 都内の料亭】


開け放たれた縁側を通して、中庭をドーム状に包む空を見やる。
雲ひとつなく、高く晴れ渡る空の青さを瞼に焼き付けても、私こと弘世菫の心はなお曇り模様だった。


「あら、菫。緊張してるの?」

「いや、母さん、そんなことは」


上機嫌な母に精一杯の空元気で微笑んでから、密かにため息をつく。
ここは都内の某高級料亭の一室。
ゆうに二十畳はあろうかという和室の中央に上等なテーブルが備え付けられ、私と母はその前で正座をしながら先方の到着を待っていた。
慣れない着物に髪を後頭部下方で束ね、唇には紅。
なんというか、窮屈極まりない。


「大丈夫よ。北条さんは、そんな堅苦しい作法を気にする方じゃないって話だから」


表情は動かしていなかったつもりだったが、母は私の内心を鏡に映して読みとったかのごとくそう声を掛けてきた。
さすがは親子というところだが、それならば私がこの見合いにまったく乗り気でないところまで看破してほしかったものだ。


「そういうことを気にしてるんじゃない。私には結婚など早すぎると、何度言ったら」

「まあまあ、今日は会うだけ。会うだけだから、ね?」


母は相変わらずにべもない。
見合いの話が持ち込まれてからずっとこの調子だ。
だがしかし、私が『そういうことを気にしているわけではない』、という一点に関しては間違いのない事実だった。



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