過去ログ - 姪「お兄ちゃんのこと、好きだよ?」男「……そう?
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3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/09/10(月) 22:07:19.79 ID:f2pJeNOlo

◇一


 彼女がいなくなったのは、七月二十六日のことだった。

「なんだか、ときどき、すごくむなしくなるの。どうしようもない波が来て、頭をぐるぐるかき混ぜていくの」

 いつだったか、彼女は笑いながら言った。朝から続いた霧雨で、街は灰色に煙っていた。
 授業中だったので、その日の校舎はひどく静まり返っていた。
 街中が、どこか遠くの国の王様の死を悼んでいるように静かだった。
 
 授業をサボって、僕と彼女はよく屋上に行った。そこで彼女は僕にたくさんのことを話した。
 彼女をよく知らない人間は、彼女が口を開くことがあることすら想像できなかっただろう。
 実際、彼女は僕の前でだけ饒舌になった。それ以外に対しては、ずっと口を閉ざしていた。

「バッカじゃないの」

 と、僕は彼女によく言ったものだった。
 僕には彼女の考えの大半が子供っぽくてバカバカしい、現実から遊離したものにしか思えなかった。
 だから僕は彼女の話を一通り聞き終わってから、いつもそう返事をすることになった。




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