過去ログ - 姪「お兄ちゃんのこと、好きだよ?」男「……そう?
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57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/14(金) 18:16:26.02 ID:mwhBKNv0o

 ◇七

 特設ステージの脇に僕を誘った男は、物陰まで僕を促してから、こちらに向き合った。
「こんばんは」 と彼は笑った。

 僕は答えずに彼の姿を眺めた。僕に似ている、というより、僕と同じ。鏡でも見ているようだ。
 けれど――それまではまったく気付かなかったのだけれど――服装が違った。
 彼は僕の持っていない服を着ていて、眼鏡をかけていて、髪が少しだけ僕より長かった。 
 
 だからだろうか、僕たちのことを気に掛ける人はいなかった。あるいは花火に夢中になっていて気付かないのかもしれない。
 僕と彼の顔が鏡写しのように瓜二つだということに。

「初めましてというのも変な話だけど、やっぱり初めましてと言うのがふさわしいんだろうね」

 僕が黙ったままでいると、彼はからかうような口調で言った。僕はひどく動揺している。
 周囲のざわめきがとても遠く感じた。

 僕は自分が幻でも見ているような気分だった。
 自分がここにいるのだと漠然と思った。ここにいるのは僕なのだ。




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