過去ログ - 【咲：安価】京太郎「……家が無い」智紀「……その５」【龍門渕】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲：安価】京太郎「……家が無い」智紀「……その５」【龍門渕】

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299: ◆0CXAHEj7Mc[saga]
2012/09/13(木) 01:40:07.17 ID:m3e793af0
～とーかとデート～

透華「……デート、ですわよね」

京太郎「そうですね」

透華「……でもなんで私たちはこんなに距離が開いているんですの?」

京太郎「……なんででしょうねぇ」

間に人が挟まっているというわけでもない。

ただ、俺達の間には不自然な拳5つ分くらいのの距離が開いているというだけで。

ちら、と辺りに目を向けると手を繋いでいたり、腕を組んだり……しまいには抱きついているような人もいる。

透華「……こっ、これだと友達同士のお買い物にしかなりませんわ!」

透華「あそこの方々がやっているようにてっ、てってっ、手を繋ぎましょう!!」

京太郎「お、おうとも、望むところです!」

透華「では行きますわよ!!」

二人でお互いの方向に手を伸ばす――通行の邪魔である。

その、手が徐々に近づいて……。

ちょん、と指先が触れて――

透華「ひゃぁっ!?///」

透華さんが離れた。

透華「くっ……負けませんわ、もう一回ですわ!」

京太郎「……別に無理しなくても大丈夫ですよ」

手を繋ぎたいとは思っていたが、あそこまで反応されるとなんかこっちが悪いことをしている気分になる。

しかし、透華さんは口を閉じてブンブンと頭を振った。

透華「そっ、そそ、それでは行きますわよ……っ!!」

京太郎「え、ええ、かかってきてください!!」

プルプル震える腕が待機する俺の腕に伸びる。

止まっては、少しずつ動き、止まっては深呼吸をし、止まっては――そんなことが何度繰り返されただろうか。

それでも彼女の腕は俺の方に伸び……そうして俺の指と指が触れ合うまでもう少しという距離で――

チリンチリンと自転車のベルの音がした。

京太郎「あ、危ないです」

透華「へっ?」

その自転車は下手すれば透華さんにぶつかりそうだったので、伸ばされた手を引き寄せる。

勢いが余りすぎて抱きつく形になってしまったが。

透華「えっ、ちょ、え、え、えええ!?///」

透華「こっ、こんな道の往来で……ちょ、えぅ……///」

京太郎「……」

透華さんは俺の胸の中で顔を赤くして縮こまっていた。

自転車が来ていただけとかすごい言いづらい!

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