過去ログ - P「企画名:アイドルマスター短編集」
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◆t7RUUQ/qaU
[sage]
2012/09/14(金) 04:40:38.75 ID:icbozaIAO
十年前。
私は水瀬を家出した。
好奇心だった、自分がいなくなったらあのパパとママはどんな顔をするだろうか。
泣きマネをして、不幸せそうな顔をした男を騙して、不味いパスタを我慢して、汚い寝床で休み、やたら長い道を歩いて警察まで行った。
ママ、ママと手を繋ぐ男を困らせるような質問をいくつもした。
親子感動の再開(しかもあの有名な水瀬家のお嬢様)をよりドラマチックにするための、ありとあらゆる準備をしたわ。
そして、私は人生に絶望した。
私に向けられていたのは愛ではなく、私は家族ではなかった。
私はアイツらの人生を華やかにするための飾りでしかなかったの。
そして私は、私がいかに無力かを、いかにアイツらに生かされていたかを知った。
孤独な私は、なにもできなかった――兎は寂しいと死ぬ。
私は死にかけていた。
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