過去ログ - 異形使い「あなたを追ってここまで来た!」
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[saga]
2012/10/18(木) 21:35:07.32 ID:34106HQPo
部屋の中、ドナートは静かに窓の外を見ていたようだった。
ティナたちが入室してもしばらくは視線を動かさなかった。
考え事でもしていたのだろうか。それに水をさすような後ろめたさを感じながら、ティナは咳払いした。
「ドナート。とりあえずお前のアリバイは証明されたよ。潔白は証明できそうだ」
「そうか」
こちらを振り返ってドナートが頷いた。あれだけ必死だった割に、落ちついたということなのか、随分と淡白な反応だった。
そして嫌な目だなと、ティナは思った。
底冷えのする目。しかしどこか熱の塊がうごめくような不気味さもある。
何を考えているのか測り損ね、一瞬だけ次に言うことを忘れた。
「……だが、お前は異形使いという素性が割れてしまっている。教区に残るのは難しいと思った方がいい」
「ああ」
「そこで、我々はお前を異形部隊隊員候補として別所に護送しようと思う」
ドナートはそれにはすぐに答えなかった。
彼がここで今までのように暮らしていくのは不可能だ。ここを出ていく必要がある。
だが、他の地に移住することは同じくらい難しい。
なぜなら植物域は限られており、当然そこに住める人数にも制限があるからだ。
となるとドナートに残された道は一つしかない。
異形部隊への入隊だ。
「すぐには決められないだろう。時間を与える。明日返事を聞かせろ」
だが最初から他の選択肢などあってないようなものだ。
黙ったまま目を伏せるドナートを残して、部屋を出た。
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