過去ログ - える「折木さんも…ご経験がおありなんですか?」奉太郎「」
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47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]
2012/09/16(日) 06:03:23.94 ID:2r6A/1tO0
「どうした、もう可処分エネルギーは残ってないぞ」
「あの……、遠垣内さんは、全てのバックナンバーを私たちに渡してくださいました」
「それがどうかしたのか?」
「この氷菓は、遠垣内さんにとって最も特別な氷菓だったと思うんです。ですから、何でしょう……私なら、これだけは自分の手元に置いておきたいと我侭を言ってしまうと思うんです」
 なるほど、道理に適った問いだ。
「その回答は、俺が古典部だったから、だな」
「あ……」
「姉貴が古典部だったと俺が知っている可能性は高いと、遠垣内は思ったんだろう。姉貴のときの文集はどこだ、と訊ねられれば、知らぬ存ぜぬを通すのは厳しいだろう」
 俺は、去年の生物準備室での、遠垣内との会話を反芻する。
(一年生。お前の名前だけ聞いてなかったな)
(折木奉太郎。……悪いとは思ってますよ)
 あの時、もしかしたら、遠垣内はまだ胸に残留していた想いに、けじめをつけたのではないだろうか。好意を寄せていた相手の弟、俺が、古典部の文集を求めてやって来たと知ったあの時に。もしあの場で、遠垣内が俺に名前を尋ねなかったら、俺が名乗らなかったら、この氷菓は、ここになかったのかもしれない。


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