過去ログ - える「折木さんも…ご経験がおありなんですか?」奉太郎「」
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7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]
2012/09/16(日) 04:14:17.02 ID:2r6A/1tO0
千反田は口元に手を当てた。何かを思い出そうとしている仕草に見える。
「折木さん、先ほど、遠垣内さんに挨拶した時のことなんですが」
 俺は曖昧に「ああ」と相槌を打った。
「折木さんって、遠垣内さんと親しかったんですか?」
「いや、特に」
「ですが、別れ際に、なんでしょう、神妙な顔で「折木君にも、よろしく言っておいてくれ」と言伝を預かったものですから」
 まずい、と思った俺は、額に汗が浮かぶのを感じながら、説明を始めた。
「あれだろう、去年、「氷菓」のバックナンバーを探すときに、手伝ってもらったから」
「いえ、それだけで、遠垣内さんが折木さんによろしくと言うのは不自然です」
「じゃあ、文化祭の「十文字事件」のことなんじゃないか。いいネタを提供したお礼みたいなものだ」
「それも変です。確かに、あの事件を解決に導いたのは折木さんですが、直接壁新聞部に交渉に出向いたのは私です」
 徐々に顔を近づけてくる千反田に俺は思わず仰け反って、視線を逸らす。今、彼女は興味という名の欲求に支配されている。こうなってしまったら、俺の姑息な言い訳など聞く耳を持たない。
 息が互いの顔に触れる距離まで近づくと、千反田ははっと目を見開いて、体を離した。
「すっ、すみません。あの……私の知らないところで、折木さんと遠垣内さんが親睦を具深めていらっしゃったのでしたら、その、それはお二人のプライバシーに触れることです。私に聞く権利などないのですが……」
「いや、さっきも言ったが、俺は別に遠垣内と親しくない。会話した回数だって、片手で数えられるぐらいだ」
 嘘は言っていない。


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