過去ログ - える「折木さんも…ご経験がおありなんですか?」奉太郎「」
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9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]
2012/09/16(日) 04:16:32.02 ID:2r6A/1tO0
 俺はどうしたものか、と額に手を当てて考えた。
 おそらく、遠垣内の「よろしく」とは釘を指すという意味に違いない。自分が卒業した後で、あのことを他人に――千反田に話すな、ということだろう。
 事の顛末は去年の春、古典部の文集「氷菓」のバックナンバーを探しているときまで遡る。姉貴の受け売りで文集は「部室の薬品金庫の中」と事前に知っていた俺は、二年前、姉貴が卒業する前まで古典部の部室だった、生物準備室に文集があると踏んだのだった。現在は壁新聞部の部室となっていた生物準備室で、俺は壁新聞部の部長である遠垣内と知り合った。
 そのとき、生物準備室を見渡しても薬品金庫らしきものは見当たらなかった。そして、遠垣内は何故か部室を物色されるのを極端に嫌がった。薬品金庫の中に、煙草とライターを隠していたからだ。彼は部室で煙草を吸っていたのだ。
 俺はそれをネタに半ば遠垣内を脅して、文集を引っ張り出させた、とこういうわけである。
 無論、俺は遠垣内の喫煙を今まで誰かに言いふらして回ったことなどない。人の秘密を、それが社会的に良いとか悪いとか関係なく、吹聴するような趣味はない。
 これだけなら、俺が胸のうちに閉まっておけばいいだけの話なのだ。
 問題は、俺の眼前で目を煌煌と輝かせているお嬢様である。
 


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