過去ログ - 【咲：安価】京太郎「……家が無い」純「その６だな」【龍門渕】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲：安価】京太郎「……家が無い」純「その６だな」【龍門渕】

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701: ◆tXdh2WZ0lM[saga]
2012/09/23(日) 00:45:06.23 ID:zOWPDuMH0
～一ちゃんと混浴～

少し前にハギヨシさんが商店街のくじ引きの一等……ある旅館への二人一組宿泊券を当てた。

じゃんけんで誰が行こうか決めることになり、見事俺達が勝ったのである。

京太郎「……あー」

お昼は一さんと外でお買い物していた。

日が沈み始めた頃に旅館に帰り、一日の疲れを癒そうと温泉に入っているのである。

京太郎「……気持ちいい」

ちゃぷ、と水を揺らしながらその暖かさを全身に広げるように肩まで深くつかった。

一「京太郎君、いるー？」

あー……と特に意味も無く声を出していると、後ろの壁の奥から声が聞こえてきた。

京太郎「ええ、いますよー」

一「そっかー……こっちは一人だけしかいなかったからさ、ちょっと寂しくて」

京太郎「……こっちもですね」

ざぁざぁと流れる温水の音しか聞こえない。

後はせいぜい、外の木の鳴く声だろうか。

一「……ふふ、じゃあ僕達二人きりだけなんだ」

京太郎「そうみたいですねー」

お互いの姿は見えないけれど、今この空間に二人きり、だ。

一「楽しかったね、京太郎君」

京太郎「ええ。やっぱり知らないところを歩くって言うのは楽しいですよね」

一「いろんな発見があるからね」

一「……ふふ、本当、ハギヨシさんには感謝しなくちゃ」

京太郎「ですねー」

心がぽかぽか温かくなり始める。

温泉って本当気持ちいいよなぁ。

一「……あ、京太郎君」

京太郎「どうしました？」

一「いや、露天風呂があるみたいだからさ……ちょっと言ってみていい？」

京太郎「別に許可を取らなくても」

一「こっちから声が聞こえなかったら心肺するかなーって、えへへ」

一「それじゃあ、ちょっと言ってみるね」

……それきり声は聞こえなくなった。

ざぁざぁと流れる温水の音がどこか、物悲しい。

京太郎「……」

京太郎「俺も行ってみようかな」

なんだか寂しいから。

案外俺も彼女を必要としているのかもしれない。

……それって。

まるで俺が恋しているみたいじゃないか。

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