過去ログ - 【咲‐Saki‐】京太郎「俺がギャルゲ主人公?」華菜「笑えないし!」透華「その6!」
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876: ◆LA9PoGiCNE[sage]
2012/10/04(木) 10:33:25.39 ID:7vBTUv5Io
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【清澄高校控室】
まこ「……勝ったの」

久「ええ」

 席に座り、じっくりと味わうように茶を啜った後、ほう、と吐く息と一緒に出たまこの言葉に、顎を引いて小さく首肯する。

優希「むう、京太郎のくせに――――な、なかなかやるじゃないか」

まこ「本人おらんのじゃから、こんな時ぐらい素直に褒めてやりんさい」

優希「でも……やっぱり悔しいじぇ」

 女子団体戦決勝、自身は大きく活躍すること叶わずで終わった優希は俯く。
 普段大きな口を叩いておきながら、この差はなんなのだろうか、と。

まこ「あったんじゃろ、京太郎には。ただ点棒、取ったり取られたりする以上に大事なもんが」

 ソファーにもたれかかり、眼鏡を外して眉間を揉みほぐしながらまこが笑う。
 家業の雀荘――現・メイド雀荘を訪れた客の中に、確かに彼と同類の打ち手は確かにいた。

優希「…………?」

 麻雀で、点棒以外にやり取りするものがあったか。
 顎に手を当てて考えるそぶりを見せる優希の頭に手を置く。
 元気はつらつに、純粋に麻雀を楽しんでいる少女には分かりにくい問題だったに違いない。

まこ「あいつらみたいにの、男っちゅうんは点棒が沽券がわりになっとるんじゃと」

優希「――――」

 まこの言葉にポカンと口を開けて固まった優希に、久が微笑みかける。

久「そんなに難しく考えることないわよ、優希。あなただって……麻雀は好きでしょ?」

優希「当たり前だじぇ!」

久「だったら……強くなれるわ。須賀君に負けない打ち方、あなただってできるんだから」

 東場に強い。
 ならば、その特徴を徹底的に伸ばしてやればいい。
 そう示唆して、久が視線を向けた観戦モニターには、佳境へ突入した女子団体戦決勝の映像。

久「今よりも強くならないと困っちゃうもんね」

まこ「ほうじゃの……わしも今回の大会で自分の穴を思い知らされた。このままじゃあおれんて」

 咲の期待に応えるように牌の花が咲く。
 槓、さらに槓――そして、さらに……槓!


咲「麻雀って……楽しいよね。今日もいろんな人と打てて、ホントに楽しいよ……」

 しかし、どんな楽しみにも終わりは訪れる。
 だからこそ、その楽しみは無上のものへと変化するのだ。

衣「衣と麻雀を打って楽しい、か……そう言ってくれる清澄の人間は――――お前で二人目だよ、宮永咲」

咲「フフ……それじゃあ、今度はみんなで楽しもうよ。みんな……ここにいる人達、みんなで集まって――――!!」

 咲の瞳に炎が宿る。

咲「カンッ……もいっこカン! そんでもって…………もいっこ、カンッ!!」

 衣の切った一筒を槓し、手牌の二筒、三筒と続けざまに槓していく。
 嶺上開花……その名の如く、和了りの花が開花する。

咲「ツモ……清一・対々・三暗刻。三槓子。赤1……嶺上開花――――32000です!」


白石『数え役満ーーーーッ!! 県予選決勝、二度目の数え役満! しかもまた嶺上開花! 県予選団体戦はこれで完全決着!! そして試合の最終結果は……なんと、なんとー!! 清澄高校の逆転優勝……! 男子個人戦に引き続き、まったくの無名校であった清澄高校麻雀部が県予選優勝の栄冠を手にしましたっ……!!』

 ギシ、と椅子に体を預ける。
 天井のライトに目を細めながら、咲が顔を綻ばせる。

咲「勝ったよ、京ちゃん……!」

 その笑顔はまるで、咲の名にふさわしい山の頂に咲いた花のように誇らしげであった。


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