9: ◆H5DcZ7AtN.[saga sage]
2012/09/25(火) 18:32:41.30 ID:S1wqPnyB0
校長室で転入の手続きを済ませた私は、先生に導かれつつ、近未来的な建物の廊下を歩いて教室に向かっています。
教室を囲むガラス越しに突き刺さる好奇の視線が、私から余裕を奪っていく…。
いくら転院を繰り返していたとはいえ、これだけの視線に晒されたことはありません。
転校一日目で心が折れそうです……。
「ここが君の教室だ。何か困ったことがあったら先生達を頼ると良い。担任の早乙女先生はいい先生だ」
「ありがとうございます」
少し厳つくて、怖い印象の先生だったけど、優しい先生で良かった。なんか忘れものには厳しそうだけど。
「――今日は皆さんに大事なお話があります。心して聴くように!」
大事な話?
転校生の紹介は確かに大事だと思いますが、心して聴く必要はないと――
「目玉焼きとは、固焼きですか?それとも半熟ですか? はい、中沢君!」
「え…、ぇぇっと……。どっちでもいいんじゃないかと――」
「その通り!どっちでもよろしい。
たかが卵の焼き加減なんかで女の魅力が決まると思ったら、大間違いです!」
どっちでもよろしい、というよりは……
――すごく、どうでもいい……。と思います。
「――ような大人にはならないこと!」
そして、私を連れてきてくれた先生はいつの間にかいなくなっていました。
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