過去ログ - オッレルス「今日こそ、告白する」フィアンマ「…安価?」
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15: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2012/09/26(水) 19:48:45.04 ID:uT0a65Uk0

フィアンマ「…おいしいっ!」

普段(といってもオッレルスはフィアンマと付き合いが浅いのでわからないが)の尊大さは消え、子供らしい無邪気な笑みで、フィアンマは味の感想を口にした。
気に入ったのか、にへら、と柔らかな笑みを浮かべ、口の中に残ったチョコの味を何度も舌で吟味している。
唾液にチョコレートが溶け、自分の唾液が甘く変化した事が不可解で不可思議で、そして素敵だと感じたフィアンマは、幸せそうに笑む。

フィアンマ「…しあわせなおかし、か」

何かしっくりと来たのか、フィアンマはこくこくと頷く。
その吐息はホワイトチョコレート色に染められて甘い。
安物では無い為、香るミルクはとってつけた様な香料臭いそれではなく、純粋な牛乳のそれ。
こんなに美味しい物を口にした事は無い、初めてだ、とフィアンマは幸福そうにぼやいた。
甘い呟きは空に溶け、聞いているオッレルスとしても気分が良い。
普段の尊大な口調は話し方として定着しているだけで、彼は無邪気且つ気取っていないのだ。

フィアンマ「これは、どんないろをしているんだ」

オッレルス「まっしろだよ」

フィアンマ「みるくのいろか」

オッレルス「うん」

何かと関連付けて色を覚えているのか、はたまた解釈しているのか。
オッレルスはただ単に白を『白』として理解するが、フィアンマは白を『ミルクの色』『晴れた空の雲の色』として理解する。
そんな解釈方が斬新で、そして文学的で、オッレルスは素直に好感が持てた。
もう一粒食べたい、という欲が出たのか、フィアンマはおずおずともう一つもらえないだろうかと持ちかける。
そもそもこのチョコレート全てはフィアンマに食べてもらう為に持ってきたオッレルスは、嬉しそうな笑顔で勿論だと頷く。
取り落としてしまってはもったいないので、フィアンマが欲しいと強請るまま、オッレルスが一粒摘んで手渡す。

フィアンマ「…すっぱい」

フランボワーズソースの入ったチョコレートは少々酸っぱさが強かったのか、フィアンマは眉を潜めた。

フィアンマ「…でも、おいしい。…おっれるす、ありがとう」

こんなにも美味しいものを食べさせてくれて。わざわざ買ってきてくれて。

今まで自分と同じ様な家の令嬢からはその様なお礼を言われた事が無かったオッレルスは、初体験にときめきを覚えながら相槌を打つ。
オッレルスもまた、フィアンマと同じ様に、周囲と馴染めない子供だった。
貴族らしく振舞うのは、驕り偉ぶるのはいまいち好きになれなくて、だからといって街中の子供達に気軽に声はかけられなくて。
日々束縛される中、与えられる小遣いは友人など居ない為、使う機会に恵まれる事は無かった。今日までは。
自分が知っている、『――家と釣り合う』金持ちの女の子と遊ぶより、この子と話している方がよっぽど有意義で楽しい。
幼く情動的な恋愛感情と一時的な解放感に、オッレルスは幸福そうに緩く笑んだ。

オッレルス「ほかに、たべてみたいものはあるかい?」

子供には過ぎた金、要らない紙切れと思っていた札束が、ようやく日の目を見る時が来た。

フィアンマ「たべて、みたいもの」

そもそも食べ物について詳しく知らないフィアンマは、首を傾げて悩む。
毎日最低限の野菜とパンとスープを食べてさえいれば、人間はとても健康的に生きられる。
だから、これまで何かこれといって贅沢な食べ物に目を向ける事は無かった。
悩んでいる内に、午後五時を告げる鐘が鳴る。荘厳な音は、五度鳴った。

フィアンマ「…すまないな、とくにうかばなかった」

オッレルス「…あしたも、きていい?」

フィアンマ「…おっれるすがきてくれるのなら、あしたもここでまっている」

オッレルス「じゃあ、あしたはごごにじに」

フィアンマ「ん、」

手を振りあって別れを告げ、オッレルスは家へ、フィアンマは教会の中へと帰った。
チョコレートを食べきって空になった箱、ゴミは街中のゴミ箱に捨て。
家に戻ったオッレルスは早々に夕食を済ませ、またもや頭を悩ませた。
明日は何を持って行こう。また、あの柔らかな笑顔が見たい。

オッレルス「…なにが、いいかな」




何を持って行く?(物品or食物)>>+2


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