過去ログ - オッレルス「今日こそ、告白する」フィアンマ「…安価?」
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2: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2012/09/26(水) 16:59:38.45 ID:uT0a65Uk0



没落しかけだというのに、貴族らしく体裁を保って習い事など。
無駄な事だ、と思いながら、好きでもないピアノの演奏から逃げ出した。
一時的にやって来たイタリアは、何だかのどかで良い場所だと感じられる。
勿論、物騒な部分は物騒だし、全てが全て平和だという訳ではないが。

オッレルス「…、」

逃げ出したはいいものの、追手が来なさそうな場所に行かなければならない。
となれば、教会辺りなどどうだろうか。
思うがまま気が向くまま、近くの教会の敷地へと逃げ込んだ。

そこに居たのは、一人の子供。俺と同い年か、はたまた年下か。

幼く、容姿の優れた、赤く長い髪の…少年? 少女?

ひとまず、前者だと断定する事として。

オッレルス「きみ、」

呼びかけると、その子は少し怯えた様子で俺の方へ振り向いた。
ただ、俺の目を見てはいない。どこか、宙を眺めている。

フィアンマ「…だれだ」

一歩下がり、警戒した様な声を出される。
そんなに警戒しなくても良いのに、と思いつつ、俺は口を開いた。

オッレルス「えっと、…」

名前を素直に名乗れば、貴族である事がバレるのではなかろうか。
別に何かをひけらかす訳ではないが、何となく、バレるのは嫌で。
本名の代わりに咄嗟に出てきたのは、昨夜読んだ北欧神話に登場する、名前。

オッレルス「…うる。…わたしのなまえは、おっれるすだ」

フィアンマ「おっれるす、か」

オッレルス「きみの、なまえは?」

フィアンマ「…おれさまの、…なまえは、ない」

そのうちつけてもらえるだろう、と彼はぼやく。
教会に来てまだ日が浅いのか。
それにしても、親から名前をつけてもらっていないのか。

オッレルス「じゃあ、…ふぃあんま、なんてどうかな」

赤く、燃える様な髪の色。
イタリア語では確か、炎の事をフィアンマと言った筈。

フィアンマ「…ならば。おれさまのなまえは、きょうこのしゅんかんから『ふぃあんま』だ」

俺が居ない場所に視線を向けて、彼は嬉しそうに微笑んだ。


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