過去ログ - オッレルス「今日こそ、告白する」フィアンマ「…安価?」
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9: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2012/09/26(水) 17:51:30.02 ID:uT0a65Uk0

視覚が関係していないもので、形として残らないもの。
金なら幸い、子供には過ぎる程の金額を持ち合わせている。
確か教会に行く道すがら、ケーキ店があったはずだ。
確かそこでは、マドレーヌだとか、クッキーだとか、チョコレートだとか、甘いものが売っていたはず。
大人達の話では明日は涼しいらしいので、チョコレートを持って行く事にしよう、とオッレルスは決めた。
甘い物が好きかどうかわからないので、ビター気味のものと、甘いミルク気味のもの、両方が詰まっている箱を買って行く事にする。

オッレルス「…よろこんでくれたら、いいな」

彼はわからないだろうから、どんな見た目をしているか、説明してから食べてもらおう。
話によると教会では日々の食事はともかく、おやつ等の贅沢品は食べられないらしいので、喜んでくれる事だろう。
果たして今日会って、明日に贈り物をして受け取ってもらえるかはわからないけれど。

オッレルス「…た、たぶん。だいじょうぶだろう」

二人で食べきれる量というと、小さな箱だろうか。
ところで、何と言い訳して抜け出そうか。
明日は確か習い事はほとんど無かった筈、暇な時間があれば良いが。




翌日。
子供ながらにそれっぽい適当な言い訳を並べ立て、家の人間を騙したオッレルスは、外へ出てきた。
ケーキ店に入り、きょろきょろと辺りを見回した後、チョコレートの詰められた小さなギフトボックスを購入する。

ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、ビターチョコレート。
甘酸っぱいフランボワーズソースが入ったチョコレートと、甘いキャラメルソースが入ったチョコレート。

どうかアレルギー等を彼が患っていませんように、と祈りながら、オッレルスは再び教会へとやって来た。
フィアンマは暇だったのか、昨日と同じく教会の敷地内の少し寂れたベンチに腰掛けて空を見上げていた。

オッレルス「ふぃあんま」

フィアンマ「…ん、おっれるすか」

目が見えないという事に限らず、何処かの器官に障害がある人間は、別の器官や能力が鋭敏に発達するという。
フィアンマの場合それは聴覚と記憶力に該当する様で、声だけでオッレルスだと正しく判断した為、安堵の笑みを浮かべた。

フィアンマ「やくそくどおり、ごごさんじだな」

オッレルス「…じかんがわかるのか?」

フィアンマ「さきほどかねがさんどなった。きけばわかる」

オッレルスはフィアンマの隣へ腰掛け、上品な紙袋の中から箱を取り出した。

フィアンマ「? なにかもってきたのか?」

オッレルス「ちょこれーとをもってきたんだ」

フィアンマ「…ちょこれーと?」

今までチョコレートに限らず菓子というものを食べた事の無いフィアンマは、不思議そうに首を傾げる。
見つめているのは、オッレルスの腹部。見えていないのだから、手元に視線がいかなくて当然だ。

オッレルス「たべものだよ」

フィアンマ「…たべ、もの」

オッレルス「ふぃあんまにたべてもらいたくて」

フィアンマ「…おれさまに?」

どうして、と不思議そうな表情で、フィアンマはオッレルスを見つめる。
正確には少し違う方向なのだが、彼としてはオッレルスの顔を見ているつもりなのだろう。

フィアンマ「どんなたべものなんだ? その『ちょこれーと』というものは」

オッレルス「え、っと…うーん…>>11


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