過去ログ - 　【咲】京太郎「夏休みだ」竜華「う、ウチの時代？」【安価】 -SS速報VIP

過去ログ - 　【咲】京太郎「夏休みだ」竜華「う、ウチの時代？」【安価】

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987: ◆wQz2C0W.uk[saga]
2012/10/28(日) 20:03:04.63 ID:LDASOosfo

　千里山大学は、然程大きな大学ではない。

　麻雀部の規模も、高校のそれと比べれば大分劣る。これは高校を卒業してプロになる割合が多いので、千里山高校――数々のプロを排斥し、パイプも太いその性質上のものだ。

　だから、私は然程忙しくない、緩やかな日々を送っていた。

　竜華「春やなぁ……」

　空はミルク色で、周囲は桃色。

　取り巻く空気はどこか浮ついていて、別世界か雲中を歩むかのよう。

　そんな現実離れした日に、私は講義なんて無粋なものを聞く為に、渡り廊下を歩いていた。

　竜華「えっと、次は離れの―――あれ？」

　足が止まる。

　不意に視界に入った人影はしかし、無意識でありながら自分の足を止めるだけの特別だった。

　「へぇ、良い大学ですね」

　「せやろ？　まあ、そうでもなきゃ名門校を下になんて抱えられへんしなー」

　「大人の事情を言うなら、儲けてるんでしょうね、それで」

　「うわー、うちけがされてもうたよー」

　益体のない会話に華を咲かせるのは、懐かしい顔ぶれ。

　白のＴシャツに、黒のジーンズ。

　極一般的な服装はしかし、この量産型を輩出する大学の中では、逆に異質を放っている。

　ぞんざいに伸ばされた金髪は春風に乗り、柔らかい笑みを浮かべる整った輪郭は、紛れもなく彼のもので。

　その隣で、春の穏やかさを纏うように歩くのは、一人の少女だった。

　体躯は彼のものと比べていささか低く、同時に儚げな空気に相応しく。

　高校のそれよりいくばくか伸ばされた髪は春風に揺らめき、彼と同じように舞い。

　服装は、私の印象から外れて、未だ慣れないエプロンにも似たユニフォーム。

　京太郎「さて、昼まで何しましょう」

　怜「そうやねぇ、とりあえずお花見でもする？」

　そんな、無計画に。

　須賀京太郎と園城寺怜は、肩を並べて千里山大学の校内を歩いていた。

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