過去ログ - 安価で女装ギャルゲー風SS part6 -SS速報VIP

過去ログ - 安価で女装ギャルゲー風SS part6

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685: ◆EEWQeQ.ZIg[saga]
2012/10/11(木) 02:15:36.65 ID:5TP9gCW20
1、離す

貴方は、眼鏡を解放した。眼鏡の腕を掴む手を離し、体に絡みつけた手を離し。
最後に唇を離した。

眼鏡は何も言わず、立ち上がって、一歩、二歩と貴方から離れる。
椅子に足を引っ掛けてよろけても、貴方から目を離さない。
涙を流すその目は、悪を見る軽蔑の眼差し。どこか温もりのある、汚い物を見る目。

眼鏡「……なによ」

涙を拭い、眼鏡は吐き捨てた。

眼鏡「私が、こんな物を、欲しいと思ったの？」

拭っても尚流れる涙を、粒として落としながら、眼鏡の言葉ははっきりとしていた。
はっきりとして、冷えていた。

眼鏡「私が何を思っているか、あなたには分からない。それは当然だから、私は、貴方の気持ちには怒らない」

眼鏡「だけど」

涙が止まらないならと諦めたか、眼鏡は涙を拭うのを止めて。
その唇を、拭いた。一度ではない。何度も、何度も、拭った。
その目が汚物を見る目なら、それが触れた唇は、汚物が触れた場所。何度拭いても飽き足らないと言う事か。

眼鏡「私と貴方は、こう言う事をしていい仲じゃないって、分かっていてやったでしょ？」

眼鏡は貴方を睨んで、言った。

眼鏡「……悪いけど、出てって」

……居座って良い状態ではなさそうだ。
貴方は……逃げるように、眼鏡の部屋から出て行った。

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