過去ログ - 【微安価】久「麻雀を?」京太郎「ええ、教えてください」
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662: ◆B6xkwd67zxGJ[saga]
2012/10/05(金) 23:08:37.76 ID:ZQDJBcNeo

優希「な、何を言ってるんだ!? そんな冗談、全く笑えないじょ!」


 言われた瞬間、理解も何も不可能だった。

 逡巡の後漸く咀嚼すると、改めて、血の気が引くのを感じる。

 凍ったままの心臓が、そのまま勢い良く口から飛び出す錯覚すら受けた。

 心なしか、周囲の温度が下がった風に思った。それだというのに、血はざわめいていた。

 冷めた頭と裏腹に、抑えようのないほど血が煮立ったが如き焦燥を押さえ、何とか声を絞り出す。

 須賀京太郎は、このような性質の悪い冗談を口にする男ではない。

 それは、優希にはわかっていた。

 だからこそ、尚更の不安が広がる。

 沈黙を守ったままの京太郎と共に、部屋の空気が沈み込む。

 静寂と恐怖を掻き消す為に――優希はそのまま、言葉を続けた。

 できれば、冗談であってほしい。

 似合わない冗談を、笑えない冗談をしたと気の抜けた笑顔を向けてほしい。

 いつも通り、自分に対して、ちょっとそっけなく、あしらうように接して欲しい。

 こんな重い空気にも、彼が言った内容にも、耐えられそうにない。


優希「犬の癖に生意気なんだじぇ! そうなったら、誰が私のタコスを買ってくると――」


 ――――バンッ。

 静寂が、破かれた。

 京太郎が勢い良く、テーブルに拳を叩き付けていたのだ。

 麻雀牌が零れ落ち、掌からは、血が滲み出している。

 そして優希へと、静かに目を向けた。

 眉を寄せて、光がないのに――その瞳には紛れもない感情が宿っていた。


優希「……っ」


 思わず、息を飲んだ。

 初めて見る表情。真剣そのものな顔。今まで、一度として見た事はない。

 恐怖を覚えながら、心のどこかでこんな顔も出来るのだと感じていた。




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