過去ログ - フィアンマ「…天使…?」垣根「それじゃ、安価旅行に洒落込むとしようぜ」
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18: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2012/10/01(月) 21:33:25.18 ID:1VFRpQdS0

右の頬を打たれたら左頬を差し出せ。
そんな事をあの地獄の説教中に言われたっけか、と思い返しつつ、垣根は目を瞑る。
そして能力を用い、手を触れずして部屋の電気を消した。
自分も、何だか疲れた。今になって、疲れがぶり返してきたようだ。
体がぐったりとだるい。何か物音があるまで、しばらく眠ってしまおう。
寝れば疲れも取れるし、そうすれば、明日何をして遊ぶかなどと、色色考えられる。


垣根「……」

そういえば、こうやって他人と眠った事は無かった。
『置き去り』として学園都市で生き、いつしか野心に囚われ、ほとんどの人間を遠ざけてきた。
ある意味馬鹿だったなあ、と思う。馬鹿は死ななきゃ治らないというが、死んだら本当に治ったらしい。
他者と二人きりで穏やかに過ごし、安堵と安寧を得る。
他愛もない優しいやりとりと和やかな会話に、心の傷を癒されて。
かりそめの幸福に腰を下ろしたまま、垣根は自嘲する。
これでは、学園都市第一位を笑えないじゃないか、と。
しかし、不思議と復讐心や憎しみがこみ上げる事は無かった。
こうして学園都市から出てしまえば、自分がどれだけ狭い檻の中で獣の様に足掻いていたか、わかったからかもしれない。

垣根「…チッ。寝るんだっての」

しっかりと目を閉じ、思考を空っぽにして、呼吸ペースを緩やかにしていく。
途中、翼に擦り寄る感覚があった。寒いのか、フィアンマが暖を求めているらしい。
手を伸ばし、起こさない様にして毛布をかけてあげた後。
思い出した様に気付いて、垣根はぼやいた。

垣根「……前は他人に気遣った事、無かったな」

眠りに、堕ちる。



翌朝。
ホテル備え付けのドライヤーがぶぉんぶぉんと音を立てていた為、垣根帝督は目を覚ました。
髪をどうにか洗ったらしい、左手で不自由そうにフィアンマがドライヤーをかけていた。

垣根「…早いな」

フィアンマ「早起きは三文の得、らしいな。今の通貨価値でいうとそんなに価値は無いから、眠っておけ」

垣根「いや、もう眠くねえよ」

一度起きてしまえば眠気は消失してしまうタイプの垣根は、起き上がって伸びをする。
のんきな猫の様に欠伸を漏らしながら、コキコキと首を鳴らし、翼をしまいこんだ。
眠気は無いが、完全にすっきりという訳でもない。
垣根は部屋からシャワールームに移動し、シャワーを浴びた。髪も洗う。
ついでに歯磨きも済ませ、能力の応用で髪を乾かした。
汎用性の高い能力は何かと便利だ、と思いながら、垣根はフィアンマを見遣った。
善意を施されていると、何故だか善意を返したくなる。
どんなに善意をくだらないと突っぱねてきたにしても、垣根帝督も結局は普通の人間で、不幸な少年というだけに過ぎない。

垣根「乾かしてやろうか、髪」

ドライヤーの手を止め、フィアンマは悩む。

フィアンマ「>>19


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