過去ログ - フィアンマ「…天使…?」垣根「それじゃ、安価旅行に洒落込むとしようぜ」
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28: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2012/10/02(火) 22:41:29.55 ID:EfNbTZmp0

垣根「…見えないからな」

フィアンマ「不可視の域に存在するからな」

垣根「ん。…見る事も、聞く事も出来ねえ。それでいて、何か功績があったらカミサマの御陰で、何か失敗したらカミサマの与える試練なんだ、なんて言われたって、信じられる訳ねえ

だろ。見た物は信じるけどな。お前がその奇跡の力? で水をワインに変えたなら拍手してやるし、それが何らかの力に基づいての結果だと信じるし、まあすげえと思わなくもない。だ

けど、二千年前の『神の子』がどうこう、それは神の与えた力がどうこう、っていうのは信じないし、認めない。お前が奇跡を起こすにあたって重要なものを握っているにしても、それ

を神が与えたっていう証拠は見当たらない」

人は信じるが、神は信じない。
理由は、目に見えないからだ。
無神論者らしい理由だったが、フィアンマは無理に布教しない。
別に魔術を扱わないのであれば、何の教徒であろうと神を信じなかろうと無問題だからだ。
ただ、少し。

フィアンマ「理論的で理性的な考えだが、勿体ないな」

垣根「勿体ない? 何が」

塩コショウで味を整え、垣根は首を傾げる。
フィアンマは肩を竦め、言葉を返した。

フィアンマ「信仰はいざという時の支えになる。身近に親しい人間が居ない時、孤独感を埋める存在にもなりうる。救いも得られる」

垣根「救い、ね。何だったか、愛をもって全て許せ、だっけか」

フィアンマ「あぁ。愛というと日本人は恋人同士のそれを思い浮かべがちだが、友情も愛の一種ではある。兄弟愛もまた然り。愛をもって人を赦す事が出来れば、いつか自分も許される

だろうと、そういうことだ。赦すといっても罪を無かった事にするのではなく、一度は罪を突き詰め、その相手が赦して欲しいと悔い改めた時、それ以上責めない事を意味する。故に、

難しい。その人物が罪を犯したことを忘却してしまう方が、許しを与えるよりも余程楽だからな」

垣根「俺の思う『許す』イメージとは違うな。やられた事を忘れてなかったら腹立つもんじゃねえの」

フィアンマ「それは本当に許せていないからだろう。友人に…そうだな、例えば、近しい人間にキツい冗談を言われるとしよう。その時は苛立つ、もしかすると数週間、あるいは数ヶ月

は許せないかもしれない。だが、その友人がその事…その、人を傷つけたという罪に気付き、心の底から申し訳ないと思って謝ってくれば、忘れることなく許すだろう。そしてその事自

体は忘れずに、しかしもうそれについて二度と責め立てる事は無い。…実際問題、それは難しいが。罪を軽視しろという話ではない。寛容であれという話だ」

垣根「寛容って単にお人好しか気が弱すぎて文句言えないだけじゃねえか」

フィアンマ「お人好しはまぁ、そうかもしれんな。気弱と寛容は別だよ」

垣根「ふーん。十字教は隣人愛がどうこうっていうけど、『隣人』ってそもそも何」

宗教の話に耐性がついたのか、はたまた聖書の内容は読み物的で面白いと感じているのか、垣根は問いかける。
出来上がったスープをよそい、スプーンを突っ込んで配膳を兼ねて移動する。
スープを飲み。程よい塩加減に舌鼓を打ちながら、フィアンマは聖書の内容を思い返しつつ話す。

フィアンマ「隣に住んでいる人物、という事ではない。自分に最も近しい…親しい人間の事だ。つまり、俺様にとってはお前が隣人にあたる。俺様の命を助け、こうして今も行動を共に

しているからな」

垣根「まったく関係無い他人に限らず、住んでる場所は関係無いのな。って事はお前、俺の事愛してるとか言えんの?」

冗談混じりに問いかけ、スープを口に含みつつ垣根は笑う。
対してフィアンマは真面目な表情で頷いた。

フィアンマ「あぁ、今のところ、俺様が一番愛しているのはお前だな」

垣根「ぶっ」

ギャグ漫画の如くポタージュスープを勢いよく吹き出し、垣根はげほげほと噎せる。
皿を一度テーブルに置いてティッシュを差し出し、フィアンマは食事を再開する。

フィアンマ「何だ。勢い良く吹き出したりして」

汚いじゃないか、と言わんばかりの表情で、フィアンマが窘める。

垣根「>>30



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