過去ログ - 極悪人「レイプしてやろうか?」  お嬢様「ええっ!?」
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16: ◆2Ru5HhxpIY[saga]
2012/10/07(日) 23:18:16.84 ID:BrS3CjVd0
朝食をとって数時間ぐらいが経過して、太陽は高く昇っている頃。
俺はエウジェーニアに赤ずきんを連想させるようなフードをかぶせて、外出することにした。
ゆくゆくは奴隷市場の競りに出すエウジェーニアなのだが、それまでの間くらいは"素晴らしい世の中"というものを知っておいてもいいのではないか。
簡単に言えば俺の回りくどい情けだということである。
そんなエウジェーニアは露知らず、身支度を進めていた。

「エウジェーニア、そんなにいりませんよ。村の市場に行くだけですからね」

俺は苦笑しながら言う。
カバンに詰め込まれていたのは、自分のお小遣いであろう金貨。
そして自分の家から持ってきたのであろうと思われる、カンテラ、それにそれなりに分厚い本だ、なんの本かまではわからない。
別にどこかに冒険しに行くわけでもない、ただ近くの村の市場を見せてやりたかっただけだ。

「えー・・・、じゃあ、これだけ持ってく」

エウジェーニアは不承不承といった感じで、女の子が抱きかかえるくらいの大きさがあるテディベアを指差した。
・・・そういえば、こんなものも持ってきていたな。
とある筋では有名な職人が幾年かの月日をかけて作り上げた一品、とエウジェーニアが朝に豪語していたものである。
エウジェーニアのお気に入りで、吸い込まれるような透明感のある色の目をしている。
先ほどの冒険セットよりはマシだろう。

「それでは、行きますか」

「うん!」

「私も行くか」

壁にもたれかかっていたリリアンが静かに言った。
わざわざついて来なくてもよいのだが、別に隠したいことがある訳でもないので、俺はすんなりと承諾した。
傍から見れば家族のようなメンバー構成だ。

・・・家族。

恐らく、俺とリリアンは同じことを思っているだろう。
俺たち二人とも、家族とは予期せぬ別れをしたからだ。
家族が生きていれば、俺はこんな闇の人生を歩んでいなかったのかもしれない。
普通に家庭を作り、子供を育て、仕事をする。
親が酷く殺された、"あの日"が無ければ―・・・。
そんな心に永久凍土の氷を溶かすかのように、エウジェーニアは無邪気に笑っていた。



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