過去ログ - 極悪人「レイプしてやろうか?」 お嬢様「ええっ!?」
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[sage]
2012/10/22(月) 21:58:33.93 ID:EgOvx/0j0
――小国の王宮――
王宮というには、少し絢爛さに欠ける装飾。
一つ一つが丁寧に装飾され、金色に輝いてはいるが、見るものを驚かせるものはこれといって存在していない。
それでも、小国というランクには相応しい王宮なのだ。
「申し上げます・・・・・・」
若い女が、頭を下げて申し出た。
深い赤色をした毛髪が、スラリと肩まで伸びている、静寂の中にいる何かを連想させるほどに、深い色だ。
スタイルはやや細めといったところではあるが、顔の造形はきれいに整っている。
切れ長の双眸が何事にも動じない冷静さを誇示しているかのように、開かれていた。
王が頬杖をつき、ゆったりと座る王の間。
背後にある大きい絵画など、あらゆる場所に絵画や骨董品を配置されていて、さながら美術館のような雰囲気を醸し出している。
「・・・ニアのことかね」
「その通りでございます」
アドルファーティ王は、その衰えぬ輝きを持った蒼色の双眼で、彼女を見据えた。
従者と思わしき女は深々と頭を下げたままだ。
「して、手がかりは」
「今朝から指示されたように一定のポイントを捜索しておりますが、現在何も・・・」
その不幸の知らせが、どうやったら笑みに変わるのだろうか。
並みの親ならば、自分の可愛い娘がいなくなった、と心配するはずだが、アドルファーティ王は何かが違っていた。
何ともあくどい笑みを隠すこともなく浮かべて、“そうか”と一言呟いた。
(クライド・・・上手くやっているようだな・・・フフフッ・・・)
アドルファーティ王は心中で、何を思っているのか。
たかが側近の従者の女には理解が不可能、その境地に達することも絶対に無い・・・。
従者を下がらせたアドルファーティ王は、ただただ、自分しかいない王の間でほくそ笑むだけだった。
――――――
(・・・あの王の笑みはなんなの・・・?実の娘が行方不明だというのに)
王宮の王の間を出た従者。
あの自分の中から嫌悪感だけを選んで取り出すような笑みに、彼女は寒気がしていた。
「あ、“ベレン”さん」
廊下を通りかかったメイドが、会釈をしながら言った。
“ベレン”はアドルファーティ家に使える従者の中でもそれなりの特権を持っていて、アドルファーティの王宮に自室を持っている程だった。
よって、メイドが挨拶してくるのは日常茶飯事だ。
“ベレン”と呼ばれた深い赤色の髪をした従者の名は、「ベレンガリア」と言う。
知り合いは親しみを込めて“ベレン”と呼ぶのだった。
「あら、どうも」
声音でなんとなく嫌な雰囲気を察したのか、メイドは心配するような口調でベレンのあとに続ける。
「・・・アドルファーティ様に呼ばれてたようですが・・・、何かあったのでしょうか?」
「ええ、ニア様失踪の件で、ご報告にね・・・・・・しかし、妙なの」
「妙・・・ですか?」
果たしてこのメイドを巻き込んでしまっていいものか、いいはずがない。
ベレンは深く考えることもなく、そう決めた。
「いいえ、気にしないで・・・、それでは」
別れ際に、一度だけベレンが頭を下げて、何事もなかったかのように、二人はすれ違った。
(深くは考えないでおこう・・・)
ベレンは一度だけ溜息を吐き、自室へ足を運んだ・・・。
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