過去ログ - 【ゆるゆり】撫子「大室家の短編集」花子「だし!」
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936:1 ◆Y79ev7DOE0Zd[sage saga]
2014/03/10(月) 07:13:33.31 ID:ONadG/+uo
第457話 反転世界 11

そういえば、そろそろ夕飯を作る時間だ。昨日は時間的に夕飯は食べ終わっていたみたいだから今日の当番が誰なのかわからない。

撫子「(台所に行くか)」

18:30、まだご飯は誰も用意していなかった。

撫子「(もしかして今日は私なのかな? なにか簡単な料理でも作るか)」

麻婆豆腐の素があったので、豆腐があれば麻婆豆腐が手軽に作れそうだ。
冷蔵庫を見ると豆腐が一丁ある。本当は、レトルトの麻婆豆腐は好きではないのだが、みんなお腹をすかせてるだろうし私も空いた。

撫子「(こんな時間までご飯を作らないとは、やっぱり今日は私なんだ)」

19時にはご飯にしたかったため、ご飯は炊飯器ではなく、鍋で炊いた。ガスで炊くと15分ほどで炊きあがるので急いでいるときにはちょうどいい。

撫子「(後、味噌汁を作って。あ、そうだ。麻婆豆腐にはすりおろし生姜と醤油を少し足そうかな。あの独特の甘みが消えればちょうどいいけど)」

ガチャン

誰か家に入ってきた。お母さんだろうか? この時間に帰ってくるとは珍しい。

大室母「今日は残業が長引いたわ。って、何やってるの? 撫子……」

撫子「え、なにって晩御飯の支度だけど」

大室母「アンタ……いつからそんなことするようになったの? 私が帰ってくるまで待てなかった?」

撫子「……」

なるほど、この世界では、料理は母さんが作っていたのか。母さんのしている仕事も普段は早い時間に終わる仕事みたいだ。

大室母「はぁ。アンタが作ってもどうせ碌な料理にならないんだから……」

大室母「で、なにつくったの?」

撫子「麻婆豆腐」

大室母「あぁ、レトルトのやつね。まぁそれならアンタでも作れそうね」

大室母「って、アンタ味噌汁も作ったの? それにご飯は炊飯器使わないで、ガスで!?」

大室母「どこで、そんなの習ったの!?」

撫子「えぇと、家庭科の調理実習で」

大室母「失敗してないでしょうね?」

いつも作っている手順だ。失敗しているはずがない。

大室母「うん、意外とうまく出来てるわね」

味見をした母はそう言った。

大室母「花子ー、櫻子ーご飯よー!」


料理を食卓に並べ、みんな各々の席に座り、食べ始める。

大室母「今日は撫子が作ったのよ」

櫻子「は、ねーちゃんが作ったのかよ」

花子「……」ガシ

花子が食べながら私の袖を掴んで言った。

花子「美味しいし」

撫子「ありがと」

大室母「撫子がこんなに料理が出来たのは意外だったわ。やればできるじゃない」

果たしてそれは私のことを褒めているのだろうか。いずれにせよ、褒められているのは”私”であってこの世界に元々居た”大室撫子”ではない。なんだか複雑な気分だ。

櫻子「……」

唯一櫻子は何も言わずに黙々と食べた。
第457話 反転世界 11 終わり


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