過去ログ - 一方通行「俺を、殺しに来たのか」
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9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空)[sage]
2012/10/12(金) 21:37:17.55 ID:Elj7+hup0

 一方通行の生活の基本はよく言えば自由、悪く言えば怠惰な一日だった。
 時間にとらわれることもなく、好きな時に起きて食事をして、気が向けばテレビを見て味気ないニュース番組やさして重要性もない芸能報道やらチャンネルを適当に回して欠伸が出たらソファに寝転がる。同じ年代の高校生が見たらさぞ羨ましいであろうフリーダムな生活を勝手気ままに好きなようにしていた。
 と、いうよりは甘んじて受け入れているという感じだった。
 以前は暗部の中で学園都市の闇を一手に引き受け、血の気を漂わせる独特の雰囲気はどこにもなかった。あるのは家庭にある生ぬるい雰囲気と、食事の仄かな香りだけでそれがどうにもむず痒い。それでもあえてこの世界に自分がとどまっているのは、自分が守ると決めた存在ら一人残さずこの手で守りきる為の手段でもあった。
  (いつまでも学園都市の手足として利用されっぱなしの状態じゃ、現状打破にもならねェだろ。あいつらの用意した場所でいくらあらがったところで、結局は全ては想定内だ。ならあいつらの枠の外で、それこそ普通の平和な生活に俺たちは戻る必要があった。それこそいつらの想定外の可能性をゼロから引き上げる為に、だがな)

 それを差し引いても、やっぱり心のどこかではあの少女が迎え入れる、作って笑顔で待つ居場所に甘えているだけかもしれない。
 ちょっと前の自分では認める気にもならないものを、認め受け入れる変化が今の一方通行には生まれつつあった。

 とはいえ、だ。

  「・・・・・・オマエ、今何つった?」
  「何って、このままじゃあなたニート外道まっしぐらか定年退職して家で寝転がってる夫と同じよ、ってミサカはミサカは最近のあなたのぐーたらっぷりを叱咤してみたり!」

 いきなり腹の上に伸しかかってきたのは、くるくる愛らしくアホ毛を揺らす打ち止めだった。
 ちなみに肩を激しく揺さぶってプラスこの伸しかかり、寝起きにやられると非常に腹が立つ。

  「オマエはどこぞの熟年妻か姑かよ、また昼ドラマの影響受けやがって・・・・演技派もご苦労なことだな。つゥかヒマ人ならオマエも似たようなモンじゃねェか」
  「ミサカはちゃんと家事のお手伝いしてるもん!ってミサカはミサカはやればできる子をアピールしてみる!」
  「オマエ今月で皿何枚割った?」
  「・・・・・えと、ひのふぅのみい」
  「計5枚、他コップ3つ黄泉川愛用炊飯器2つ破壊、俺の服2枚脱色ンで掃除機かけて番外個体の髪吸い込んで追いかけ「もうストップ、ストップこれ以上ミサカの生き恥を公開しないでぇーっ!ってミサカはミサカは意地の悪いあなたに懇願してみる!」

 確かに打ち止めは一方通行と同じ生活をしているものの、進んで家事をしたり手伝ったりと積極的な面もあった。
 ただしそれは最初だけであり、大抵は手を滑らせて皿を割るだの洗剤を間違えて洗濯機内の服を全て染みどころか真っ白にしてしまったり、しまいには掃除機で寝転がっている番外個体の髪の毛を吸い込み半分の髪の毛がくしゃくしゃになりその場でどたばた追いかけっこが始まったりしている。
 ふぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!と悲鳴がした時にはもう遅く今は髪をアップにしていて今は掃除機を見ると自分の部屋に逃げ込むか一方通行の背中に隠れたりとトラウマを植え付けらている。
 ちなみに当の本人は一方通行らを傍らに煎餅をかじっていたが、掃除機という単語を聞くとぴくんと反応して固まっていた。

  「・・・・・何さ、その目。そんないかがわしい目でミサカを見ないでよ」
  「・・・・おい、考えてみりゃ俺よりよっぽど不良じみた生活してるコイツに言うべきなンじゃねェのかよ?」
  「ミサカ食べたお皿はちゃんと台所に持ってってるけど」
  「それ家事って言わねェンだけど」
  「でも、最近の男は自炊出来るのが当たり前みたいな時代だし・・・・このままだとあなた未来の妻が風邪引いた時にメシねェンだけどって年甲斐もなくお粥も作れないで、惨めなコンビニ弁当で済ますっていう男の恥をさらすかもしれないわね」
  
  (・・・・適当な偏見持ちやがって)
 この同居人たちは、何としても一方通行に家事をやらせたいらしかった。












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