過去ログ - キュアホワイト「繋げなきゃ……未来へ……」
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8: ◆TohWfFqdn.hV[saga]
2012/10/14(日) 00:40:43.16 ID:Jiu3ftYuo

〜〜〜

その日、私は初めてケヤキの下以外で彼を見た。

「……あぁ、おはよう、さなえさん。
ここは、危ないね……これじゃあちょっとした拍子に全部崩れてしまう」

「そんかこと言われても、ここには若い男の人がいないんですもの、子供達に近寄らないように言うくらいしか出来ないわよ?」

皮肉っぽく、言う。

「……そうだね、みんなが手を貸してくれたら崩さずバランス悪いところに何か噛ませてあげればいいけど……。
きっと、僕なんかの言うことは聞いてくれないだろう」

それが当たり前だと言うように彼は笑っていた。
しかし、その笑みは今まで見たことも無いようなさっぱりと清々しいものでまるっきり子供のように見えた。

「私が頼んであげるわよ?」

「いや、いいよ別に。
要は子どもや年寄りや君みたいな可愛らしい女の子が崩れた時に巻き込まれなきゃ良いわけだろう?
だったら……」

雪城さんは、棒切れを拾い上げ、それを思い切り積み上げられた瓦礫の山に投げつけた。

「なっ……」

雪城さんが投げた棒切れがあたると、山は一気にしかし綺麗に崩れ丘のようになった。

「誰もいない時に崩してやればいいだけだよね。
あ、怪我はないだろう?
怪我していたら見てあげるよ?」

「いや、その……綺麗に崩れたから良いものの……変な崩れ方したらどうするつもりだったのよ!」

「心配ないよ、こういう崩れ方をする場所を選んで力を加えたんだから。
自慢じゃあないけど僕は頭がいいのさ」

その声色は嫌味というものが全くなく、むしろ孤独さを感じさせるものだった。
そして、その表情も……。

「……なら、その頭を復興に役立ててよ」

私のそのつぶやきが雪城さんに届いたかはわからない。
ただ、にこりと笑ったその悲しそうな微笑みが私の心を強く締め付けた。


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