過去ログ - 【咲：安価】京太郎「……家が無い」桃子「その11っす！」【鶴賀】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲：安価】京太郎「……家が無い」桃子「その11っす！」【鶴賀】

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195: ◆tXdh2WZ0lM[sage　saga]
2012/10/17(水) 14:36:44.32 ID:DsnCp1lN0
和「お、お待たせしました……」

と、彼女は姿を現した。

まるでお姫様のようなドレスを着た彼女は、恥ずかしそうにもじもじと体を動かす。

京太郎「……お嬢様みたいだな」

和「も、もう、からかわないでください！」

京太郎「いや、比喩じゃなく」

和「……もぅ」

そこには少しの皮肉も込めたと思ったのだが、彼女にとっては全てが褒め言葉となったらしい。

……まあ、そうして恥ずかしがる姿も可愛いから別にいいのだけど。

……。

……本当に、こんなにも可愛い和が俺の彼女なんだよなぁ。

にわかには信じがたいが、夢ではない。

まさに夢心地である。

京太郎「……で、どうする？」

和「どうするって……デートじゃないんですか？」

京太郎「いや、そうだけどさ」

京太郎「どこに行く？」

京太郎「……どこか、行きたいところはあるか？」

和「……」

和「……ふふっ」

と、和はおかしそうに笑う。

ああ、くそ、やはりプランを考えてこなかったのは失敗だったか。

初めてとはいえ、そんな甲斐性の無い男は確かに笑われるだろう。

……ああ、くそ。

楽しみにしすぎて何も考えてなかった自分が恨めしい。

京太郎「……と、言うのは冗談で、えっと――」

和「――私は、京太郎君と一緒ならどこでもいいですよ」

と、彼女は俺の腕を握る。

細くて、柔らかくて、華奢な……そして、冷たい、彼女の腕は、まるで人形のようだった。

和「貴方と一緒にいられるだけで幸せなんです」

京太郎「……ありがとう」

和「ふふっ、お礼を言うことなんかじゃありませんよ」

和「それじゃ、早速……といいたいところですが、昨日学校に忘れた物を取りに行ってもよろしいですか？」

京太郎「別に、それくらい構わないぜ」

和「そうですか、ありがとうございます、私の王子様」

京太郎「お姫様の言葉だからな、聴かないわけが無いだろ？」

和「……ふふ」

和「それじゃ、行ってきますね」

和は上機嫌に、高校の中へと入っていった。

空いた手を寂しく思いながら俺はまた空を見上げた。

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