過去ログ - 千早「事務所の場所が変わりました」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/16(火) 00:38:05.65 ID:JYtn0llRo
携帯電話に謎のメールが届いた。
それが謎になったのは、
おそらく、私が誤ってアドレス帳の中身を吹っ飛ばしてしまったせいなのだけれど。
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/16(火) 00:38:40.11 ID:JYtn0llRo
最初に思いついたのは、プロデューサーや春香あたり。
だって、この二人からは、放っておいてもメールが来るのだもの。
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/16(火) 00:39:15.24 ID:JYtn0llRo
>突然ごめんなさい。
>お願いがあって、メールしました。
>そろそろレッスンが終わるころですよね?
>今日の五時に、前の事務所まで来てもらえますか?
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/16(火) 00:39:52.77 ID:JYtn0llRo
『引っ越しするなら春だろう』
突然の社長の思い付きに、
プロデューサー初めとした社員が奔走していたことは記憶に新しい。
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/16(火) 00:40:40.13 ID:JYtn0llRo
うららかな春風が、コートの裾を揺らす。
一見、何ともないメール。
だけど、どこか引っかかるわね。
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/16(火) 00:41:10.97 ID:JYtn0llRo
両手を使ってフラップを閉じると、
すぐに着信を知らせる振動があった。
思わずどきっとしてしまう。
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/16(火) 00:42:30.54 ID:JYtn0llRo
>こ助かりました。
>千早ちゃんにメールしてよかったです。
>それでは、前の事務所でお待ちしています。
8:>>7 訂正[saga]
2012/10/16(火) 00:43:09.73 ID:JYtn0llRo
>これで助かりました。
>千早ちゃんにメールしてよかったです。
>それでは、前の事務所でお待ちしています。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/16(火) 00:43:57.50 ID:JYtn0llRo
公園を抜けると、近道になる。
だから私も、それを利用することにした。
だけど、一つおかしなことがあった。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/16(火) 00:45:03.71 ID:JYtn0llRo
歩くこと数分。
抜け道のおかげか、私が思っていたよりも、早く目的地に着いてしまった。
旧事務所は、大きな道路に面している。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/16(火) 00:46:18.86 ID:JYtn0llRo
建物に寄りかかりながら、それとなしに空を見上げる。
雲一つない空に、さっきの月が浮かんでいた。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/16(火) 00:47:02.53 ID:JYtn0llRo
萩原さんだ。
予想外の人物に、思わず固まってしまう。
そんな私の様子を見て、その表情が曇った。
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/16(火) 00:48:02.40 ID:JYtn0llRo
慌てて軽い調子の声を作って、言う。
「――いいえ。突然現れたから、少し驚いただけよ」
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/16(火) 00:49:12.33 ID:JYtn0llRo
二人で縦になって、事務所への暗い階段を上る。
軽やかに上っていく萩原さんとは対照的に、私の足取りは重い。
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/16(火) 00:49:49.15 ID:JYtn0llRo
いや、せっかく頼られているのだ。
だから、ここは喜んでおくべきよね。
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/16(火) 00:50:47.53 ID:JYtn0llRo
扉の前まで来ると、萩原さんはどこか誇らしげに鍵を掲げた。
「プロデューサーから、鍵もらってきたんだ」
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/16(火) 00:51:56.23 ID:JYtn0llRo
仕方なく、もう一度周囲を見回す。
すると、日焼けした壁に、一際目立つ白い跡。
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/16(火) 00:53:33.53 ID:JYtn0llRo
「写真の跡、だね」
外に夢中になっていたはずのおかっぱ頭が、唐突に視界の端で揺れる。
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/16(火) 00:54:36.66 ID:JYtn0llRo
思いつくがまま、と言ったふうに、萩原さんが言葉を並べる。
「ねえ千早ちゃん。冷静に考えると、ここって結構怪しい事務所だと思わない?」
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/16(火) 00:56:22.37 ID:JYtn0llRo
「そんな所に突っ込んでいくって、私、結構向こう見ずだったんだなぁって」
私たちは、顔を見合わせて笑った。
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/16(火) 00:57:45.48 ID:JYtn0llRo
少しの沈黙を置いて、萩原さんが申し訳なさそうに経緯を説明し始める。
「プロデューサーも四条さんも、
まだお仕事あるみたいで、頼めなかったんだ」
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