過去ログ - 【咲】ハギヨシ「有給休暇……でございますか」純「ついに10日目かよ」【安価スレ】
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鬱ゲロ >>1
◆eu7WYD9S2g
[saga]
2012/10/17(水) 18:09:04.21 ID:pZVZ8JQN0
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
透華は部屋を出ると、早鐘を打ち続けてやまない心臓を無視して駆け出した。
龍門渕の隆盛をそのまま物語る屋敷の広大さが、この時ばかりは恨めしかった。
使用人棟が、遠い。
全身の血流が凍りついたように重く、不規則な動悸を生む。
走っていなくとも、息苦しくて仕方がなかった。
息苦しさは走ろうと歩こうと変わらない。
だから、走った。
(どうして……どうして……っ!)
どうして、こんなことになってしまったのか。
透華はそれだけを頭の中で反芻し続けた。
最悪の想定として、起こり得る可能性のある事態であったことは確かだ。
しかしそれとこれとは話が別。
突きつけられた現実の内側の萩原の瞳は、蛇のように細く、冷たく尖っていた。
予想しようと想定しようと、堪えきれないほどに、凍てついていた。
(衣ぉっ……!!)
萩原の口ぶりからして、衣の生存は絶望的である。
石戸霞も、おそらくすでにこの世にはない。
弘世菫と三尋木咏がどうなったかは計り知れないが、楽観視などできるはずもなかった。
「一ッ、起きておりますわね! 寝ているなら今すぐ起きなさいッ!!」
だから透華は、これ以上誰かを失いたくない一心で、そのドアを開いた。
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