過去ログ - まどか「杏子ちゃん、それはちょっと食べすぎじゃない……?」
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68: ◆GnIWQD74f.[saga]
2012/10/25(木) 23:12:51.88 ID:TKVF6JgXo
「はあ……。やっと回復したよ!」

 こうして誰一人も欠ける事もなく四人全員が無事に揃っている事に、私は心の底から感動してしまった。
 私が幸せを噛み締めているとと、壊れたビルの向こうから心配で仕方がない様子のまどかが走りながらこちらへとやってきた。

「みんな! 怪我はない!?」

「まどか!? どうしてここが……?」

 まどかがどうやってここまで来たのか疑問に思っていた私だったけれど、まどかの後ろにいるインキュベーターを見て私は確信してしまう。

「……ごめんなさい。みんなが心配だったから、キュゥべえに案内して貰ったの……」

「そういう事なんだ。みんな大丈夫かい?」

 私達は白々しいインキュベーターを前にして、敵意を剥き出しにしていた。

「……今さら、なんの様かしら? もうこの街には魔法少女になりたいなんて女の子はいないわよ?」

 そう、まどかが魔法少女になる事なんて、未来永劫ないと言ってもいいと私は思っている。

「やれやれ。別に僕は君達に対して悪意はないと言うのに」

 こいつの言葉はいつもながら、私の事を苛立たせてくれる。
 そして、こいつの話を聞いた美樹さやかと巴マミもまた怒っていた。

「……ふざけないでよ! あたし達に大切な事を黙っておいて契約させるなんて悪意があるとしか思えないじゃない!」

「……そうよ。私、あなたの事を信用していたのに……」

 美樹さやかと巴マミの言い分に対してインキュベーターは、何も感情を込めずにただ話す。

「その過程がどうであれ、君達は願いが叶ったんだろう? だったら、それでいいじゃないか」

「それは……そうだけど……」

「……」

 インキュベーターの言う事に、二人は言い返す事が出来なかった。

「……正直あんたの事は好きになれないけどさ。この力のおかげで救えるものもあるんだから、あたしはそんなに気にしてないよ」

 佐倉杏子は悲しそうな表情をしてインキュベーターにそう言った。そんな彼女の事を、やつが物珍しそうにしていた。

「杏子。君の様な考えをする子はとても珍しいね」

「……だが、お前が嫌いなのは変わらない! 早くここから消えてくれよ?」

 杏子は鬼の形相でインキュベーターを睨みながら、槍の矛先をやつに向けていた。

「ふう。僕の話を聞く気はみんな無いみたいだね」

「……そう言う事よ。だから消えなさい」

 相変わらず無表情のインキュベーターの事を私は突き放した。すると、やつは私から目を逸らして何処かへ行こうとした。

「まあ良いさ。僕は別の街にでも行って、新たな魔法少女を探すだけだ」

 インキュベーターのその一言で、私達はやりきれない気持ちでいっぱいになってしまい、俯いて黙る事しかできなかった。

「それじゃあ、まどか。さようならだ」

 まどかにのみ別れを告げて去ろうとするインキュベーターの事を、とても辛そうにしていたまどかが突然引き留めた。

「……ちょっと待ってよ。キュゥべえ」

 まどかのその一言を待ってたと言わんばかりに、インキュベーターが振り返りまどかの方を向いた。

「まどか、どうかしたのかい?」

「もうこれ以上魔法少女を増やすのはやめてよ……」

 まどかが目に涙を浮かべながらインキュベーターにそう言うと、やつは残念そうにまどかに話す。

「残念だけどそれは無理な相談だ。もしも僕がそれをやめたとしても、他の誰かがきっと契約を迫るだろうね」

 そんな救いの無い話を聞いたまどかは、とても辛そうにして俯いていた。

「そんな……」


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