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293: ◆EEWQeQ.ZIg[saga]
2012/10/26(金) 22:52:20.43 ID:YVsCz4VU0
2、止める

いや、無茶はいけない。貴方は明日に響いても構わないかもしれないが、眼鏡はどうなのだ。

貴方「……今日は、もうお終いにしましょーか」

貴方はぼんやりと机を見つめながら、眼鏡に言った。
既に、貴方の目は宿題から外れている。完全にやる気を失った表れか。

眼鏡「……そうね」

眼鏡は、少し長く息を吐いて、同時にシャーペンを置く。

眼鏡「ちょっと、疲れたわ」

確かに、いつも以上に、声に生気が感じられない。
貴方にも言える事だが、今の今まで、その手は惰性で動いていたに等しいだろう。
……宿題とは、そこまで頑張るべき物かと言えば、違うだろうと思う。

眼鏡「……片付けるの、面倒」

貴方「そう言わないで、やりましょう」

貴方と眼鏡は、のろのろと机の上を片付け始める。
たった教科書をしまうと言う動作だけで、二分近く要した。完全に、もう駄目。

宿題と筆箱を鞄にしまった眼鏡は、椅子から立ち上がって……貴方の方に顔を寄せる。

眼鏡「大好き」

耳元で、そんな事を囁いてきた。くたびれた声で、息を吐くように。耳に息が掛かり、ゾクリとした何かが体を走る。
貴方が何か反応するよりも先に、眼鏡は顔を話す。ちょっと、眠たそうだった。

眼鏡「言いたくなったのよ……おやすみなさい」

貴方「……おやすみなさい」

何か、気の利いた事が言えなかったのかと思う。まあ、言えなかったのだろうと思う。
貴方はそれだけ言って、眼鏡を見送った。

眼鏡を見送った貴方は、ふらふらと歩き、ベッドに倒れ込む。

そのまま目を閉じ、まるで気絶するように意識を手放した。

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