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767: ◆EEWQeQ.ZIg[saga]
2012/11/06(火) 23:51:36.98 ID:cI4x59gN0
2、中　コンマ「1」

眼鏡「ちょっと、――さん！」

貴方が心地良く弾いている所に、貴方の部屋に闖入するのは眼鏡。
突然の来訪者に、貴方は演奏を止めて、振り返る。

貴方「眼鏡さん。どうかしましたか？」

眼鏡「どうかしたじゃないわよ、この、ドヘタクソ！」

眼鏡に怒鳴られ、貴方はびくんと体を引き攣らせる。
眼鏡の後ろ、部屋の扉の向こうを見ると、使用人たちが、大変気分が悪そうな顔をして貴方の部屋を覗いていた。
否、貴方を見ていた。

眼鏡「はあ……知らなかった。――さん、特定の楽器を使うと音痴なのね」

貴方「そ、そんな酷いんですか？　これでも、普通くらいだと思っていたのですが……」

眼鏡「……典型的な、どうしようもない音痴の台詞ね」

眼鏡「本当に、びっくりしたわよ……突然、鉄板に鉄の爪を突き立てたような嫌な音が聞こえるから」

眼鏡「客間を出て確認したら、貴方の部屋の前で使用人さんたちが集まってるじゃない」

なるほど、だから貴方の部屋の入口には使用人たちがいるのか。
なんて、納得している場合では無い。ヴァイオリンを奏でて金属音とは、どんな技術があったらできるのか。
……実際にやっちゃったらしいのが、貴方であるのだが。

眼鏡「これは没収！」

眼鏡は貴方かヴァイオリンをひったくり、後ろに隠す。

眼鏡「他の楽器は良しとしても、もう二度と、金輪際、ヴァイオリンだけは弾かないで」

貴方「……はーい」

一言抗議するくらいは、と思ったが……意識の無い音痴ほど厄介な物は無い。
特に、貴方の場合は、その内被害すら出かねないほどらしいから……仕方が無い。
貴方は諦め、大人しく従った。

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