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571: ◆H7NlgNe7hg[sage saga]
2012/11/29(木) 06:27:09.48 ID:lqapAszKo


 濃霧の中を、音を殺し駆ける機体がいた。
 PICを使い地面スレスレをホバリングの要領で駆け抜けていく。

岡部『(この霧が晴れるまでおよそ20分。“モアッド・スネーク”の再装填に30分……)』

 有利に働く時間は最大で20分だった。
 霧は次第に晴れていき、再び蔓延させるには30分以上が必要である。

 四方、5キロメートルで作られたビル郡。
 視界さえ良好であれば、ISの機動力を持てば容易く居場所が割れてしまうだろう。

 そして相手は恐らくプロ。
 まともに遣り合って勝てるとは、微塵も思って居なかった。

岡部『(どうする、どうする……)』

 あとワンテンポ遅れていたら“凰 鈴音”は死んでいた。
 それだけは、それだけは回避せねばならないと何度も何度も反芻する。

 全身から汗が吹き出て、息が荒くなる。

岡部『(はぁはぁ……見つ、けた………)』

 ビットが敵ISを発見する。
 巨大ビルに挟まれた6車線道路の中心部に陣取っていた。

 “エネルギー・アンブレラ”が既に展開され、何時でも迎撃が出来るような体制を取っている。

岡部『(こちらには気付いていないな……)』

 ごくり。唾を飲む音が自身に響く。

 岡部の視界は良好だった。
 “モアッド・スネーク”により発生した、霧は“石鍵”に作用しない。

 加えてパラダイム・シフトにより増幅されたセンサー。
 これにより、岡部にとっては通常の視界と変わらずこの濃霧の中を動き回る事が出来た。

岡部『(……)』

 条件は整っている。
 これ以上の地理的優位は見込めようが無い。

 それどころか、時間が経つにつれその優位性さえも薄れていってしまう。
 どうしたら良いか。

 そんな考えで頭が一杯の時、ふと紅莉栖の顔が脳裏を過ぎった。
 直前に“篠ノ之 束”が言い放った言葉も同時にリフレインする。

 ──中々良いエンジニアが居るようだね。

岡部『(ん……?)』

 何かが引っかかる。
 奥歯に挟まったような違和感。
 


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