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832: ◆H7NlgNe7hg[sage saga]
2013/02/25(月) 03:22:41.58 ID:G92jtprSo

簪「クリスマス……か……」

 そんな絶望から現実逃避をすべくアニメに視線を落す。
 ちょうど、アニメではバトルトーナメントに挑む主人公、ヒロインの姿が描かれていた。

「ようし、絶対優勝してやるからな!」

 拳を握り、優勝を誓う主人公。
 その隣には小柄な少女が立っている。

「──ねぇ」

 気合を居れ、目を輝かせる主人公へ少女が語りかけた。
 その声はどこか歳を越えた艶やかさが感じられる。

「なんだ?」

「もし……もし、この大会で私が優勝したら──」

 ──私と付き合ってくれる?

「なっ……」

 驚きを隠せない主人公。
 鈍感である彼はこうして真っ向から好意を伝えない限り、気持ちに気付くことはなかった。

 それを知る少女は勇気を振り絞り告白をした。
 なんともベタな展開である。

簪「……」

 しかし、そんなベタな展開が簪にほんの少しの勇気を与えた。

簪「わたし、も……」

 さすがに優勝前に告白するほどの勇気は湧かない。
 けれど、もし、仮に、トーナメントで優勝することが出来たのであれば。

簪「告白……でっ、出来るかもしれない……」

 頭から被っていた布団を引っぺがす。
 寝巻きから制服へと着替え、直ぐに部屋を後にした。

 トーナメントなんてどうでも良い。
 そう思っていた自分を捨てる。 

 あのアニメのヒロインは、勇気を振り絞って主人公へ告白した。

簪「私、も……」

 勇気が欲しい。
 告白する勇気が。

 アニメが好きだなんて勘違いを正したい。
 私が好きなのは、アニメではなく一夏なのだと伝えたい。

簪「私だって、優勝すればきっと……」

 整備室へと足早に歩を進める。
 何度も見返したはずのアニメが簪に勇気を与えた。

 “全学年個人別トーナメント”前日。
 それぞれが、それぞれの理由で気持ちを点火させた。

 あとは、当日を待つばかりである。
 
 


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