過去ログ - Steins;Stratos -Refine- U
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◆H7NlgNe7hg
[sage saga]
2013/02/25(月) 03:22:41.58 ID:G92jtprSo
簪「クリスマス……か……」
そんな絶望から現実逃避をすべくアニメに視線を落す。
ちょうど、アニメではバトルトーナメントに挑む主人公、ヒロインの姿が描かれていた。
「ようし、絶対優勝してやるからな!」
拳を握り、優勝を誓う主人公。
その隣には小柄な少女が立っている。
「──ねぇ」
気合を居れ、目を輝かせる主人公へ少女が語りかけた。
その声はどこか歳を越えた艶やかさが感じられる。
「なんだ?」
「もし……もし、この大会で私が優勝したら──」
──私と付き合ってくれる?
「なっ……」
驚きを隠せない主人公。
鈍感である彼はこうして真っ向から好意を伝えない限り、気持ちに気付くことはなかった。
それを知る少女は勇気を振り絞り告白をした。
なんともベタな展開である。
簪「……」
しかし、そんなベタな展開が簪にほんの少しの勇気を与えた。
簪「わたし、も……」
さすがに優勝前に告白するほどの勇気は湧かない。
けれど、もし、仮に、トーナメントで優勝することが出来たのであれば。
簪「告白……でっ、出来るかもしれない……」
頭から被っていた布団を引っぺがす。
寝巻きから制服へと着替え、直ぐに部屋を後にした。
トーナメントなんてどうでも良い。
そう思っていた自分を捨てる。
あのアニメのヒロインは、勇気を振り絞って主人公へ告白した。
簪「私、も……」
勇気が欲しい。
告白する勇気が。
アニメが好きだなんて勘違いを正したい。
私が好きなのは、アニメではなく一夏なのだと伝えたい。
簪「私だって、優勝すればきっと……」
整備室へと足早に歩を進める。
何度も見返したはずのアニメが簪に勇気を与えた。
“全学年個人別トーナメント”前日。
それぞれが、それぞれの理由で気持ちを点火させた。
あとは、当日を待つばかりである。
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