過去ログ - 【咲安価】久「麻雀を?」京太郎「ええ、教えてください」 三局目
1- 20
619: ◆B6xkwd67zxGJ[saga]
2012/10/27(土) 01:30:56.10 ID:A+CAORL3o

「……おい、咲。お前、本当に大丈夫か」


 調子が悪いなら保健室にでも、という彼の言葉を手で遮る。

 首を振る。だが、すぐに元気だと振舞えるかと言えば、否だ。それほど演技は得意ではない。

 こちらの意図に気付いたのだろう。付き合いは長いのだ。彼は、やれやれと座りなおす。

 そして、咲の頭に手を乗せた。


「何かあったら……言えよ」

「……うん」


 多くは語らず、彼は手を退けた。名残惜しさと恥ずかしさが入り混じって、思わず足元を見る。

 一方の京太郎は、空を見上げて間抜けっぽく口を開けている。

 連れ戻してこいと言われたはずなのに、咲の状態を見て、時間を置くことに決めたのだろう。

 それでも咲を置いていかず隣に座っているあたりに、善くも悪くも、彼の人間性が表れている。

 空を見るだけで、何も言わない京太郎。

 咲も黙って、地面に目を向け続ける。

 こうして余計に干渉してこず、かといって離れもしないのは、長い付き合いが為せる業だろうか。

 それとも彼は誰に対してもこうなのか。あるいは、咲の近くに来る人はこうなるのだろうか。

 しばしの沈黙。それから溜め息を一つ。口を開く。


「ねえ、京ちゃん……相談があるんだけど、聞いてくれる?」

「おう、任せろ」


 仕方ないなと笑いつつも、嬉しそうな京太郎。

 咲の保護者を気取っているつもりなのか。だがどちらかと言えば、こちらが保護者になった気分だ。

 大型犬を飼っていたら、きっとこんな気持ちになるのだろうか――と首を上げた。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/382.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice