過去ログ - 【咲安価】久「麻雀を?」京太郎「ええ、教えてください」 三局目
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623: ◆B6xkwd67zxGJ[saga]
2012/10/27(土) 02:25:50.24 ID:A+CAORL3o

「……俺、は」


 また呟いて、止まる京太郎。

 そう、正直なところ、この件に関して京太郎ができることなど何もない。

 他人の家庭の事情に踏み込むほど、京太郎は向う見ずな人間ではないのだ。

 だから、黙るほかない。

 こうなるとは分かっていた。打ち明けたところで、何にもならないと。

 だから嫌だった――とは言わない。どうせいずれにしても、通らねばならない道なのだから。

 逃げられない問題だった。そして逃げるのはやめると、向かい合うと最近の咲は決めていた。

 そのまま、訪れる静寂。

 もう、蝉の声は聞こえない。夏は終わったのだから。


 結局、何がしたかったのだろうか。

 問いかけてみても答えは返ってこない。

 打ち明けたから気持ちが楽になるとか、そういうこともない。ただ頭を悩ます人間が一人、増えただけだ。

 そろそろ、雲行きも怪しくなってきた。部室では今頃、皆が待っているだろう。

 地面を踏みしめ、立ち上がった。

 そんな咲の手を、京太郎が握りしめた。


「……何?」


 京太郎に目を向けず、言った。

 行かないでくれとか、寂しいとか……そんな言葉を期待していた。

 そうすれば、多少は心も晴れた。ある意味で、打ち明けた甲斐があった――というものだ。

 だが、京太郎の口からは咲の望んでいたような言葉は出ずに――


「――咲、結婚しよう」


 そんな、場違いで冗談じみた台詞が飛び出していた。


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