過去ログ - 【咲安価】久「麻雀を?」京太郎「ええ、教えてください」 三局目
1- 20
693: ◆B6xkwd67zxGJ[saga]
2012/10/28(日) 22:49:14.77 ID:paSKWGEXo

「……なるほど、ありがとう。協力に感謝するよ」


 前の男ほど、根性はなかった。

 残り3人。そのうち二人の住所を特定できた。あとはまた調べる日々だ。

 生活時間を。交友関係を。趣味嗜好を。職場環境を。

 そうして追い詰める。思い知らさせる。


「それじゃあ、これを咥えてくれ。俺がここから離れて、それから十分経つまでは、そのままだ。声を出すな。いいな?」


 男の口にビール瓶を嵌める。

 それからコンロの火を止めて、凶器をすべてバッグにしまう。

 軽く部屋を見回す。証拠となるようなものは残ってはいないか。

 ビニールをかぶせて封をしてその上にニット帽を被っている。髪の毛が落ちる心配はない。

 両手には革の手袋。その下も、薬品をつけた上で熱して指紋を取ってある。足の指紋も消しているので、こちらも大丈夫だろう。

 衣服も革製。なるべく繊維が少ないものを選んだ。

 唾液も、マスクで塞いである。汗は気になるが、今は肌寒いし、特に汗を掻く行為はしていないのでこちらも問題はない。

 玄関までのルートを軽く掃く。ゴミや、靴の裏に付着している泥などが落ちてはいないか、念入りに改める。

 その間も男は、こちらの言いつけを守っているようだ。

 全ての片づけが終わり、キッチンへと顔を出した。震える男と、啜り泣く女。


「そうだ、最後に……忘れてたよ」


 言って、男の頭を掴む。そのまま体重を乗せて、壁へと叩きつけた。

 ビンが砕け、声にならない悲鳴が上がる。それを、あらかじめ用意していたガムテープで封じた。


「それじゃあな。仲間に知らせたら、あんたは大変な目に遭うぜ。この先、一生な」


 一生。そうだ、一生である。
 
 仮に逮捕されたとしても、出獄したらまた同じことをやる。そう決めていた。最後まで妥協はしない。

 だが、手間だ。日本は狭くても広い。再び見つけ出す時間を考えると、捕まっている余裕などない。

 咲は笑わない。二度と微笑まない。未来を奪われた。その時、咲の心と一緒に、京太郎も死んだのだ。

 この先も日陰を歩き続けて、全員に償わせる。歩く死人がやることは、それだけだった。

                                                         ――了


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/382.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice