過去ログ - 【咲安価】久「麻雀を?」京太郎「ええ、教えてください」 三局目
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919: ◆B6xkwd67zxGJ[saga]
2012/10/31(水) 23:53:04.06 ID:RYv2Tfgco

 くるくると。

 自然と指が髪の毛を弄んでいた。

 時たま行ってしまう癖で、それが理由で、左側だけをロールにさせている。

 右と同じように纏めようとしたら、どうしても巻いて捩れてしまうのだから。

 はて、これはいつごろから付いたものだろうか。

 思い返してみれば昔、麻雀をやっていて、何かあるとすぐにこうして髪の毛を指に巻いていたような気がする。

 実際打つにあたってそんな癖は他者へと余計な情報を与えてしまうこと、

 また、そんな癖など出る暇もないほど濃密に麻雀を打っているうちに、消えたはずだった。

 特に高校三年生になってからは、後輩の手前、そんな気弱そうな行動を控えていたというのもある。

 癖と呼ぶには、最近随分とご無沙汰であることに違いない。

 ……ということはつまり、だ。


(緊張しているのか、私は……)


 緊張。

 常に伴っているものである。むしろ親しい友人と呼んでも過言ではないほど。

 勝負事というのは、いかに緊張と折り合いをつけるかが焦点となる。

 緊張を舌に押し殺すのではなく、向かい合って自分の中に組み込む。

 呑まれることなく、さりとて思い上がることなく。

 それが勝負事の秘訣――であった。

 尤も、県予選のときの自分がそれを十全に行えていたかと問われれば、疑問だ。

 慢心はなかったか。油断はなかったか。驕りはなかったか。

 振り返ってみれば、あの時の自分はそんな要訣に欠いていたのではないか――と思えるほどだ。

 何が悪かったのか。そればかり、振り返っている。


(……いや、今日はやめておこうか)


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