過去ログ - 【咲安価】久「麻雀を?」京太郎「ええ、教えてください」 三局目
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971: ◆B6xkwd67zxGJ[saga]
2012/11/03(土) 01:43:54.41 ID:UUPXZhLjo

 人を守るために一番必要なことはなんだろうか。

 それは、人を壊す事だ。或いは壊す覚悟と言ってもいい。

 矛盾しているようだが――何より、この要素が必要である。

 家族を守るために、誰かを騙して金を巻き上げる。

 自分の命を守るために、他人の幸福を奪う。

 程度の差はあれ、人は多かれ少なかれそのようなことを行って生きているのだ。

 それはルールだ。プラスがあればマイナスが存在する。

 美しさの裏側には醜さがあり、尊さの反対には賤しさがある。

 何かを得る人間がいるなら、何かを失う人間がいる。

 それぐらい、決まりきった事なのだ。そこに程度の差があるとしても。


 それが文化的な事ならば、まだ良い。

 平和的な解決も望めるし、お互いに何かを差し出し合って、妥協点を探る事ができる。

 しかし極めて原始的な事である場合――すなわち心身や生命をかけた事なら――そこには余地は存在しない。

 その後の損得を見込んだ上での程度や、落としどころというのはある。

 しかしそれは表面的には保身とはかけ離れている行為でなくてはならない。

 保身などの弱さを見抜かれてしまえば――あとは搾り取られるだけなのだから。


 正当なる強さはある。潔さも、尊さもある。

 だが最終的に収束するのは――――“暴”と“知”。この二点だ。

 如何に強いか。如何に賢いか。弱い場所を見抜き、効率よく破壊し、蹂躙し、屈服させる。

 暴力に身を委ね、悪意に染まり、どこまで残酷になれるか。

 それが己の明暗を分かつ、最後の分水量である。


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