過去ログ - 【咲安価】久「麻雀を?」京太郎「ええ、教えてください」 三局目
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992: ◆B6xkwd67zxGJ[saga]
2012/11/03(土) 03:38:13.43 ID:UUPXZhLjo

 膝をついて、立ち上がろうとする。

 よろけて、這いつくばった。だが、お互い様だ。

 そこで、笑みが零れていることに気付いた。理由は分からない。ただ、頬が強張り、笑っているのは確かだ。

 目の前の男が、叫んでいた。助けを求めているようだった。

 イカレている。

 そう言ったのだけは、かろうじて読み取れた。

 未だに、立てない。だが、これでいい。男も自分を蹴れないのだから、お相子だ。

 男の視線を辿った。咲を抑えた坊主頭。困惑した表情だが、こちらの視線に気付くと、睨み返してきた。

 奴が、来るのか。


 両手に力を入れて、思いきり踏ん張った。されど体は緩慢に、ただ震えて起き上がろうと試みるだけ。一向に、持ち上がらない。

 咲が突き飛ばされる。

 ナイフを片手にした男が、駆け寄ってきた。

 立ち上がるのは、間に合わない。

 蹴りが来るか。横に、倒れこむか――そう思ったが、体は動かない。

 そのまま、弾き飛ばされて、倒れこんだ。背中と、泳いだ後頭部を打った。

 今ので、打ち止めだった。指一本、動かないだろう。もう、終わりだ。須賀京太郎は、ここで終わりだった。立ち上がるのは、不可能だ。

 咲、逃げろ。

 口を開いて、叫んだ。本当に声が出ていたのかは、怪しい。

 もう一度、叫んだ。ただ、掠れた音が出ただけなのかもしれない。それでも再び、声を上げた。

 男たちの視線が移った。咲には、伝わったようだ。走り出したのか。そもそも、走り出せるのか。

 坊主頭が、踵を返す。捕まったら、これで終わりだ。

 何かないか。手元を探った。感覚などない。とりあえず掴んで、放る。飛んだのかも、怪しい。



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