過去ログ - 【咲安価】久「麻雀を?」京太郎「ええ、教えてください」 三局目
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994: ◆B6xkwd67zxGJ[saga]
2012/11/03(土) 04:02:00.04 ID:UUPXZhLjo

 こちらに向ける、男たちの視線には、怯えが混じっていた。

 坊主頭が諦めた風に、咲の方向を向き、首を振った。

 そのまま、地面に放り出された男たちを、抱え上げる。

 逃げ出す、つもりのようだった。

 勝ったとは思えなかった。だが、悔しさもなかった。これはこれで、目的が果たせた。

 本当は、全員を殺してやろうと考えていたわけではない。

 自分がどうなってもいいから、潰してやるなど、本心からではない。

 否、確かに本心ではあった。あの瞬間に於いては。本気で全員を破壊してやる。そう思ってたからこそ、ここまで耐えられた。

 猛スピードで、車が走り去る。咲が向かったのとは反対方向。

 ナンバーは折りたたまれている。それに目がかすんで、どうせ追い切れない。

 車が消えるまで、肩に力を籠め続けた。

 ここで折れたら、また戻ってきてしまう。自分がやった事が無駄になってしまう。そんな風に思えたのだ。

 ヘッドライトが遠ざかる。

 残ったのは、薄暗い、街頭の燈だけだ。


 咲はどうなったのか。

 倒れこみながら、思った。彼女が無事なら、京太郎が居た意味は果たせた。

 背中をつけた地面が、やけに冷たかった。

 実際に温度がどうだかは分からない。ただ、奪われていた。震えが来ていた。

 体が暑くて輪郭がぼやけているのに、芯から凍えた。そんな悪寒。

 咲はどうなったのか。大丈夫なのか。

 言ってみたが、答えは返ってこない。この場を離れてくれたのか。それとも声が出せなくなったのか。

 どちらかは分からない。ただ、疲れて、寒かった。





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