過去ログ - 【咲】ハギヨシ「有給休暇もいよいよ」菫「最終日、ですね」
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100:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/10/24(水) 21:34:27.10 ID:HRCCBV2/0

今日もどこかでお茶の間お馴染みのでこぼこコンビが、この対局を鳥瞰しながら好き放題言っているのだろうな。
そう思いながら私は、ツモってきた牌を流れるような動作で河に捨てた。

咏さんの誘いに乗って、テスト入団という形でプロの世界に飛び込んで4年。
最初の1年こそ期待値以上の成績でタイトルを手にしたものの、その後2年は鳴かず飛ばずだった。
いわゆる「2年目のジンクス」に泣かされたのだろう、と周囲の誰もがそう見た。
だが私の中では、事はそう単純ではなかった。

龍門渕家に暇を請うて以降、異能が緩やかに減衰している。

以前なら最低でも4局に1局は狙えた流し満貫が、半荘で一回出せればいい方になった。
ここ一番で相手の強配牌を押し流してきた九種九牌が、まったく手の内に揃わなくなった。
しかし本当に辛かったのは、能力が使い物にならなくなったことではなかった。


『……龍門渕め』


父母の死に様を夢想する度、異能の寒気が血管の内側で脈動を打つという、あまりに皮肉な事実。

私の麻雀を支えているのは、どこまでいっても憎悪の一念のみだった。
結局私は、あの憎しみに身を委ねるしかない。

憎悪から距離を置く意味もこめて、龍門渕を離れたというのに。
飛び込んだ先の勝負の世界では、憎悪に歩み寄ることでしか勝利を得られない。

憎しみに身を焦がすことでしか生きられない自分に、私は嫌気が差したのだった。
 


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