過去ログ - 【咲】ハギヨシ「有給休暇もいよいよ」菫「最終日、ですね」
1- 20
149:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/10/25(木) 00:55:28.05 ID:0yYDEgFb0

百人が百人、奇妙な参列者だと口を揃えるであろう面々に囲まれて、私は心からの笑みを浮かべた。
それは私が4年前、あの二カ月間の短い旅路で見つけた何かの、集大成そのものだった。


「――時も、妻となる女性を愛することを、誓いますか?」

「誓います」

「新婦、あなたは?」

「誓います」


そしてついに、その時がやってきた。
彼女の花のかんばせを覆うヴェールは、私だけがめくることを許された薄布。
禁忌の膜を取り払ってのち、私は目の前の女性をもう一度だけ、頭の先から爪先まで見回すことに決めた。

その表情はことこと煮込んだシチューのように、芳醇な幸福の味わいに染まりきっていた。
とろけたミルクのごとく薄く色づいた頬が、崩れるか崩れないかの瀬戸際でかろうじて体裁を保っている。
それ以外の部位は蜂蜜を塗りたくったも同然の甘い香りを放って、参列者を老若男女問わず惹きつけていた。
唇にルージュは差されず、アイラインも自然のまま。
一切の化粧を施されていない生まれたままの目鼻立ちが、却って触れがたいような神秘性を演出していた。

これを、今から、今日から。
これから、いつまでも。
私だけのものに、する。
考えるだけで爪の先が震え、視界が幸せ色に彩られ、胸の内で太陽が爆発する。
狂喜と歓喜を足して二で割らない情動が弾け飛ぶ。


「それでは、誓いの口づけを」



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
184Res/83.04 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice