過去ログ - 【境ホラ】末世を生き抜く者達Ⅶ【安価コンマ】 -SS速報VIP

過去ログ - 【境ホラ】末世を生き抜く者達Ⅶ【安価コンマ】

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935: ◆JVhKaYiUO.[saga]
2012/12/01(土) 02:13:20.21 ID:MvwWRBjvo
思い出すだけで、頭がガンと殴られたような衝撃を受ける。

全ては自分のせい。反応が遅れた自分のせい。守ってやれなかった自分のせい。

「アレク、こっちを見ろ」

「・・・断る」

「・・・そうか」

なら仕方がない、後ろでそう呟いた気がした。

次の瞬間。

「―――ッ！」

強引に顔を掴まれ、振り向かされる。そして、そのまま唇を奪われる。

唇を離し、少し紅潮したライラの眼は、悲しみに満ちていた。

「何度も言う。あれはお前のせいじゃない。事故だ」

「だが助けられなかったのは・・・！」

「世の中には変えられないものはある。運命というやつだ。あいにく私はそれを信じないが、そういうものはあると思わざるを得ない出来事がある。今回はそれだ」

一息。

「いいか、それで自分を責めるな。あと、お前は余裕がなさすぎだ。周りに目を向けろ。お前が悲嘆にくれている間にも世の中は動く。時代に取り残される。それが嫌なら・・・」

顔から手を離される。自分は、今度は、背けようとはしなかった。

「鈴への気持ちを捨てろとは言わない。でも、お前に好意を抱いている人間はいるんだ。そういう人に頼れ」

さらに、決意したような顔で。ライラは言葉を続ける。

「私を見てくれ、アレク。私はお前のことが好きだ。大好きだ。恋愛感情を持っている。それは昔からずっと変わらない。そして頼ってくれ。お前は、もう一人じゃないんだ。一人で罪を背負う必要もない。罪なんて分けあえばいい。だから・・・私を置いていかないでくれ」

ゆっくり、しかしはっきりと言い切った。

それは、自分にとっては、告白されたのと変わらないわけで。それを知ってて。自分は鈴だけを見て。

けど、それは果たしていいことだったのだろうか。一途であることだけが、よいことなのだろうか。

もしかして、自分は。

ライラの気持ちをずっと踏みにじってきたのではないだろうか。

彼女はずっとそれに耐えてきたのではないだろうか。

自分に振り向いてくれない俺を見て。

鈴の事が好きな俺を見て。

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