過去ログ - 【咲安価】久「豆知識を?」京太郎「ええ、教えてください」 四局目【解説?】
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10: ◆B6xkwd67zxGJ[saga]
2012/11/03(土) 05:35:34.09 ID:UUPXZhLjo

 叫び声が上がった。

 ピアスのあった箇所を中心に、男の両耳がパックリと割け落ちていたのだから。

 どよめく集団。痛みに悶絶する男。

 京太郎が、足元の草でも薙ぎ払うほどの気安さで蹴りを放った。

 瞬間男の体が吹き飛び、助手席の窓から車内に突入。ハンドルへと熱烈なキスを交わす。

 エアバックが作動し、クラクションが辺りに鳴り響いた。

 一瞬、皆が気を取られた。その間行動できたのは、起きる事を理解していた京太郎だけだった。

 まず一人。首筋を掴んで、車内に放った。逆側の窓ガラスを砕き、上半身を露出させる。

 幸い車のガラスの構造からそれによる出血はないようだったが……強かに顔面を打ち付けた影響だろう。顔は赤く染まっていた。

 そして最後に、宮永咲を抱える男の前に立ち、言った。


「好きな方を選ぶといい……。
 咲を捕まえたまま、そこのエアバッグのような面になるか。それとも、咲を手放してそのまま命も手放すか……だ」


 どちらにしてもお前をブチのめす。京太郎は、そう告げていた。

 始めてみる異性の冷酷な表情に、宮永咲は、恐怖すら感じていた。

 だが、直接殺気を向けられた訳ではない。その対象はというと――


「あ、ああ……あ、あ」


 脂汗を止め処なく流し、まさに文字通り歯の根が噛み合わないといった様子で、ガタガタと震えていた。

 無造作に京太郎が腕を突き出した。

 不快そうに眉を寄せて、そのまま、男の前歯を掴みあげる。


「……いい前歯だな。キッチリと磨いてある、と分かる」


 男が爪先立ちになった。咲は急に拘束を解かれ、その場でつんのめった。

 京太郎を見る。だが、咲を居ない者の如く視界に収めず、ただ坊主頭の男を見据えていた。

 不意に腕がぐいっと上がる。釣られて、男も歩き出した。

 ぷるぷると震える爪先。何事か――おそらくは許しを得ようと――しているらしいが、口が閉じられない為、言語としての体を成してはいない。


「だが……それも今日までだ。安心するといい、抜けた歯は、ちゃんと地面に埋めておいてやる。
 知ってるか? そういうおまじないを……。聞いたことがないんなら、勉強になったと思うんだな。次は強い歯が生えてくるらしい」


 妙に冷静に、そんな訳がない、と考えている自分がいる事に――宮永咲は戸惑った。永久歯が抜けたら、それっきりだ。


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