過去ログ - 唯「1日遅れのハロウィンマジック」
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3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/10/31(水) 23:40:14.43 ID:q2eGm5Mmo
ハローウィンになるといつもあの景色を思い出すんだよ。
幼い頃の思い出。
石造りのケンタウロスが左右で睨みをきかす門の前にわたしは立っていて、そこから一本の長い舗道が続いていたんだ。
その舗道の横には古びたレンガ造りの家々が建ち並んでね、どの家の庭にもきれいな色の花が好き放題に、でもそれでいてお互いを気づかいあうみたいに咲いていた。
大きな嘴と羽を持った真っ赤な鳥の舞い降りたところに、ふわり広がった風がドアホン代わりの鈴の花を揺らし、おしゃれな帽子をかぶった郵便猿がその鳥の背中から気だるそうに降りてきて自慢のしっぽで黄色の手紙をほうりなげた。
道のずっと先の円形の広場で、噴水から大きな水玉が飛び出し、くるくる色を変えながら漂い弾けるのが見えた。
淡いピンクの空を見たこともないほど大きな鳥の夫婦が横切った。
動物園みたいな不思議な匂い、ホットケーキのような甘い香り。
振り向くと、ぎざぎざした高い山を背景に果てしない草原が広がっていて。
右から左へ草むらをびゅんって切り裂いたあの影はどんな動物のだったんだろう。
風が通りすぎて「ようこそ!」って言った。
鼻頭をくすぐられてつい、くしゅんっ。
風が笑った。
わたしも、えへへ、と照れ笑いしたんだ。
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