過去ログ - 咲「京ちゃん……」京太郎「……」
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10: ◆INjIt6nmxE[sage]
2012/11/03(土) 14:29:19.83 ID:MreAMW1AO
退部届を見る。
この紙を提出すると、俺は麻雀部からいなくなってしまう。
ただの紙切れ。されど今後を左右する大事な一枚。
ふと、全国大会から帰ってきた日の事が浮かび上がった。
――――――――――
全国大会が終わり、長野に帰還し、バスで学校に帰る。
すると垂れ幕で「祝・清澄高校麻雀部インターハイ優勝」という文字が見えた。
こうして見ることでようやく優勝したのだという実感が沸いてきた。
学校には在校生だけでなく、OB・OGや父兄、さらには地域の住民も含め、溢れんばかりの人が俺達の帰りを待っていた。
咲や部長は笑顔に涙を浮かべていた。
部長は普段の態度とは裏腹に、こういうものに弱いらしく。
普段の仕返しにからかってやろうとも思ったが。
「……」
無言で感慨深げに外を見つめる部長の横顔に、俺のそんな悪戯心など吹き飛んでしまった。
バスから降りると人が集まってきた。
その後、サプライズとして咲の父親や和の父親が登場した。
咲の父親なんかは号泣しながら周りに娘自慢をしていて、咲を真っ赤にさせていた。
和の父親は壮絶な仏頂面ではあったものの、娘が近づくとわずかに顔をほころばせていた。
部員もお疲れだという事で、一旦解散になった。
皆、それぞれの親と帰っていった。
つもる話もあるだろう。
俺は一人で帰ることにした。
――――――――――
もしあの時、一人で帰らなければ、俺は退部を決意しなかったかもしれない。
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