過去ログ - 【咲】京太郎「いざ、白糸台高校へ」PART34【安価】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲】京太郎「いざ、白糸台高校へ」PART34【安価】

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878: ◆cvvZKri7SI[saga]
2012/11/05(月) 13:02:26.41 ID:anrPhLEWo

尭深「……」

尭深「……出来ない」

尭深「そんなこと、出来ない」

尭深「誰か、呼ばないと！」

ぐっと、足に力を入れて。立ち上がる。

鍵を開けて、ドアノブを捻る。

廊下の空気を一つ吸って、一度眼鏡を外し、目元を拭う。

とはいえ。

立ち上がったはいいものの。

決意をしたのはいいものの。

正直、まだ足に力が入りきってない。

目を瞑れば、倒れた菫先輩と床の赤い染みが、すぐに蘇る。

吐き気のような、辛い気持ちがこみ上げてくるけれど、そんな事はどうでも良かった。

今一番痛くて辛いのは、わたしではなく。

菫先輩のはずだから。

廊下を進んで、部室の扉を開ける。

昇格試験かただの練習かは分からないけれど、牌を打つ音が耳に入ってきた。

同時に、談笑も。

菫先輩のいない部室は、談笑で満ちている。

先生も菫先輩もいない部室は、普段とは違い、賑わっていた。

それが、普段どれだけ菫先輩が皆を纏めているのかを良く表していて。

見捨てるなんてありえないという事を、再認識させる。

誰に言おうかと考えて、辺りを見回す。

……。

……本当は、もう一人しか探していなかった。

こんなこと、他の誰に言うというんだろう。

京太郎「……あ」

京太郎「尭深さん」

尭深「……」

いた。

須賀君が、そこにいた。

……いてくれた。

当たり前だけれど。いてくれた。

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