45: ◆asJU3gh8ZA[saga]
2012/11/10(土) 19:31:20.39 ID:cEU74SRyo
扉の開かれる音に思わず目を開いた才人の目に飛び込んできたのは、鬼のような形相で、それに反して今にも泣きそうな瞳でこちらを睨んでいるルイズ。
それを確認すると、才人は金づちかなにかで頭を殴られたような心地になった。
さしものティファニアも物音に気づいたようで、ルイズのほうに目を向けると、まるで悪いことをしてしまった子犬のような表情を浮かべる。
一方のルイズはいうと、自分の恋人が別の女と涙を流しながら熱い口づけを交わしているという光景を前に、情けないやら悔しいやら、とても制御のつかないわけのわからない感情に心を支配され、涙を流すにも流せず、激怒するにもそれもできず、ただただその瞳に悲壮感を、その顔に怒りの色を示したまま動かない。
おそらく、思考が目の前の光景について行けないのであろう。
やがて小さく震えたかと思うと、才人が物置として使っている部屋にばたばたと入って行ってしまう。
部屋を沈黙が支配した。
どちらからともなく、才人とティファニアは互いに顔を見合わせる。
「ど、どうしよう……。わたし、ルイズにひどいことしちゃった。」
「いや、テファは悪くないさ。……悪いのは、俺だ。」
そう言って、才人は天井を見上げた。
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