過去ログ - 【Fate安価スレ】聖杯戦争の道標【此戦我勝】 -SS速報VIP

過去ログ - 【Fate安価スレ】聖杯戦争の道標【此戦我勝】

↓ 1- 覧 板 20

977:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/24(日) 10:41:56.62 ID:cj2U/3ul0
「野恵、知ってるか？恋人ってのはな、運命の赤い糸で結ばれてるんだぜ」
「アカイイト？」
「そうだ、まあお前はまだチビだからわからないかもなー」
「あ！　バカにしたな、千彰兄！あたしだってねぇ、もう小６なんだからっ！」
「小６？　ああ、ガキだガキ！　オレ中３だぜ？あ、もうすぐ修学旅行なんだ。いいだろ？　彼女と一緒だ。ん？　ああ、みやげは買ってきてやる」
そう言って、天条野恵（女子１２番）の隣に住んでいた３つ上の少年――二松千彰は出て行った。
そして、帰ってきたときには、変わり果てた姿になっていた。
「うそつき…おみやげ買ってきてくれるって…言ってたのに……」
葬式でそう泣いたのを今でも憶えている。
『恋人ってのはな、運命の赤い糸で結ばれてるんだぜ』
野恵はその言葉を信じ、今――中２の９月までずっと捜し続けていた。
赤い糸で結ばれている相手を。
「ちょっと、そんなのウソに決まってるじゃない！」
「そーだよ、そんなのマンガの世界の中の話だって！」
友人の佐々川多希（女子６番）や野尻茉有（女子１５番）がそう言っていたが、それでも野恵は探すことをやめなかった。
野恵の運命の相手の探し方は、そんなに特異なものではない。
やはり１番は、目があったらドキンとすること。
そして２番は、自分がその人の為に何かをしてあげたいと思えること。
最後に、自分をわかってくれそうな人であること。
最初に目があってドキンとしたのは、李星弥（男子１７番）。
ダメ、きっとあたしの運命の相手は地味系の人だ！
１番に『コイツか』と思ったのは、戎嘉一（男子２番）。
しかし、ダメだ。
こういう具合にずっと運命の相手を探していた。
そして、気になる人を発見した。
「あの、浜本君？」
野恵が声を掛けると、少年――浜本卓朗（男子１１番）は顔を上げた。
「どうしたの、そんな浮かない顔して……福が逃げちゃうぞぉ？」
「え…あ、うん……」
少々おどけた感じで声を掛けても、卓朗は暗く返事してくる。
「何か悲しいこと、あった？前から気になってたんだよね。…あ、もしかして……あの２年前のプログラムに関係あること……？」
卓朗は一瞬目を見開き、野恵を見た。
「うん……そう。　兄ちゃんが巻き込まれて……」
野恵も俯いた。
「…で？　だから？　だからそんなに根暗君になってるの？」
「な…っ？」
卓朗が野恵を見上げた。睨んだ、の方が正しいかもしれない。きつい事を言っているのはよくわかっている。でも、このままじゃいけないと思った。
「そんなのさ、君の兄ちゃんは喜ばないじゃん。
　やっぱさ、楽しく生きてほしいって思ってるよ、きっと…。あたしもさ、隣の家の兄ちゃんが死んじゃったんだよ。家族じゃないけど……ショックだった……でもね、あたしはそう信じてるよ。千彰兄はあたしが悲しむのを望んでない…って。別に『忘れろ』って言ってるわけじゃないしさ、つーかむしろ忘れちゃダメだと思うけど。君の兄ちゃんの分までしっかり生きなきゃダメだよ！」
卓朗が目に涙を浮かべた。
うわ…っ！　マズイ！
あたしってばどーしていつもキツい言葉言っちゃうんだぁ！
しかも後で後悔するなら最初から言うなっての！
「キツイなぁ…天条さんって……」
「あ……はい、よく言われます……」
後悔してから、思い切り沈んでしまうのも野恵の特徴だった。
「ちょっとショックだったなぁ…」
「あ……ゴメンなさい……」
あぁもう！　絶対浜本君傷ついてるよ！　あぁもう！　どうしよう！
運命の相手とか言ってる場合じゃないよ！
そんな事言う前にこの癖直さないと！
しかし、野恵は「え？」と呟いた。
卓朗が微笑んだから。
「そうだよね、僕がしっかり生きないといけないんだよね？」
野恵は自分の顔が赤くなるのがわかった。
心臓の鼓動が早まる。
なに……浜本君ってば……笑顔可愛すぎじゃない！
その時確信した。
運命の相手は卓朗なんだ、という事を。
浜本君がいつも笑顔でいられるようにしてあげたい…！
浜本君なら、あたしの悪い癖を直してくれるかも…ってこれは自力で直さないといけないけど…
それから１週間後――
野恵が教室を覗くと、卓朗は教室で１人で未提出の課題を必死にやっていた。
チャンスは今しかない……行け、天条野恵！！
「は…浜本君！！！」
「え？あ、天条さん…？」
驚いて卓朗は顔を上げた。
そして、ぎこちない笑顔を見せた。
後には退けない、当たって砕けろだ！砕けたくないけど…バンッ、と卓朗の机に手を置いた。
「あたし、浜本君が好き！！付き合って…ください！！…そ、それだけ！！」
単刀直入、あたしのいい所だわ。
でも、これじゃあロマンチックの欠片もありゃしない…あまりにストレートすぎたので、卓朗は硬直していた。それを見て、野恵の頭の中は不安でいっぱいになっていった。へ……返事は？あの、この間が辛いんですけど…？
「あの…浜本君…？」
「えっと…あの…あ、ゴメンね、驚いちゃって……僕ね、天条さんのこと、いいと思うよ。言いたいことははっきりと言っちゃうトコとか…うらやましいし………おねがい…します」
その返事を聞いた瞬間、野恵の腰が抜けた。
へなへなっと力無くその場に座り込んでしまった。天条野恵に初めて恋人ができた。神様仏様お願いです、このまま何事もなく平穏でいさせてください…しかし、その願いは神にも仏にも届かなかった。

<<前のレス[*]｜次のレス[#]>>

1002Res/1163.76 KB

↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。

VIPサービス増築中！
携帯うpろだ|隙間うpろだ