179:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/27(水) 21:51:59.12 ID:UAVTQATq0
いつも穏やかなニゲルが荒っぽい声で鳴いていた。
その大きな単眼には不穏な色。
そのような彼を見るのは初めてで、どうしたのか、と問わずにはいられなかった。
彼は十数歩ほど走って立ち止まり、私を見た。
ついて来いと言うことらしい。それも急ぎで。
私は小走りで彼の後を追う。
黒エルフの娘に何かあったのかと不安になったが、黒猫は作業小屋を超えて更に森の奥へと突き進んだ。
数分ほど歩いたところで、ニゲルは立ち止まった。
彼は前方を覗き見るようにして何かを凝視していた。
私もそれに倣って、前方の濃い闇へと目を凝らす。
暗闇の厚い膜は私の目からあらゆるものを隠していたが、それでも私の耳はいつもと変わった物音を捕らえた。
小さな足音。複数。
私に対する追跡者だろうか。
数が少ないようであるから少数精鋭――かなりの手練れが派遣されているのかもしれない。
もちろん呪術も使ってくるはずだ。
私は様々な可能性を考えながら、最善の方法を思案する。
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